ミヤマクワガタ(深山鍬形)

Pseudolysimachion schmidtianum var. senanense


ミヤマクワガタ1


  • 科名・属名 : ゴマノハグサ科 ルリトラノオ属
     注.APG分類ではオオバコ科(PLANTAGINACEAE)、クワガタソウ属(Veronica)、学名(V. schmidtiana subsp. senanensis f. senanensis)

  • 特徴 :
     草丈10〜25cmの多年草。
     茎は基部でよく分枝して直立〜斜上し、軟毛がある。
     葉は対生、根際に多く集まるが中部まで数対の葉をつけ、葉身は卵状長楕円形、長さ1〜6cm、幅0.5〜2cm。先は尖り、基部はくさび形、縁は重鋸歯状に浅裂し鋸歯はほぼ同形、ほとんど無毛。根出葉の葉柄は長さ1.5〜2cm。
     花は茎の先にまばらな総状花序を作り、淡青紫色(〜赤紫色)の花をつける。花柄は長さ5〜15mm、開出した腺毛が疎らに生える。花冠は上部が皿状に広く開いて放射相称、4裂し、径10〜12mm。花冠の裂片は重ならず、湾入部の縁に毛がある。雄しべは2個、長さ約8mm、花柱とともに長く花の外に突き出る。萼は4深裂し、長さ4〜6mm、裂片の先は鋭頭、腺毛がまばらに生える。
     果実(刮ハ)は倒卵形、長さ約5mm。
     北アルプス産の花は淡青紫色であるが、中の写真のように南アルプス産の花は赤紫色で、アカイシミヤマクワガタ(学名なし)と呼ばれる。

  • 分布・生育地 :
     本州(中部以北) (国外:日本固有)
     ブナ帯以上の山地〜高山帯の岩礫地

  • 花期 :  6〜8月

  • 撮影月日・場所 :
    上・全体1 1981年7月12日  長野県白馬岳
    中・全体2 2011年7月26日  山梨県北岳
    (上、中は拡大写真あり、写真をクリック)
    左下・花 1977年8月7日    同  上
    右下・葉 2011年7月26日    同  上

  • 撮影記 :
     夏山シーズンの初めの頃高山に登ると、岩礫地にこの花が群生して咲いているのを見かける。
     岩礫地は環境は厳しいものの、他の草との競争のないため好まれているようだ。というより、礫地に生育することで生き延びてきたといえる。
     南アルプスでは赤紫色の花が咲き、アカイシミヤマクワガタと呼ばれている。
     北岳の大樺沢の登山道沿い、礫地をあえぎながら登る足元に小さな群れとなってこの花が咲いている。

  • 葉

    同じ科の仲間の花
ミヤマクワガタ(アカイシミヤマクワガタ)2

花