ヒシモドキ(菱擬)

Trapella sinensis


ヒシモドキ1

  • 科名・属名 : ヒシモドキ科 ヒシモドキ属
     注.APG分類ではオオバコ科(PLANTAGINACEAE)

  • 特徴 :
     多年生の水草。
     茎は細長く伸びて水中を漂い、節から根と葉を出す。
     葉は対生し、水上葉と水中葉があり、水上葉は三角状円形〜腎円形、長さ2〜3.5cm、幅2.5〜4cm。先は円く、縁には先の鈍い鋸歯があり、基部は開いた浅心形。葉柄は長さ1〜3cm。水中葉は細く、披針形。
     花は茎の上部の葉腋から2cm程度の花柄を水上に出し、1花を横向きにつける。花冠は淡紅色、唇形で下部は黄色の筒部となり、長さ2〜3.5cm。上唇の先は2裂、下唇の先は3裂し、裂片は円い。閉鎖花をつけることが多い。
     花後、萼筒が長く伸び、下部が狭まった円柱形の果実(堅果)となる。果実(堅果)は、長さ1.2〜2cm、幅3〜4mm、萼裂片が生長した3〜5本の細長い刺状突起があり、先は内向きの曲がる。

  • 分布・生育地 :
     本州、九州 (国外:朝鮮、中国)
     池や沼

  • 花期 :   7〜9月

  • 撮影月日・場所 :
     2015年8月9日  兵庫県
     中・群落、以下全て    同  上
     (中上・群生は拡大写真あり。写真をクリック)

  • 撮影記 :
     小さな池の水面の何箇所かを茂った葉が覆い、遠目にも多くの花が咲いているのがわかった。
     何度かこの花の撮影にチャレンジしていたが、葉は見るものの閉鎖花ばかりで水上に咲く淡紅色の花は憧れの的だった。
     中国地方や九州の自生地情報は聞いてはいたものの、いずれも運がよければ1〜2個の花が見られるといったものばかり。なかなかこの花のためだけには出かけられなかった。
     そんな時、花仲間から一杯咲いている場所があるとの連絡を受け、迷うことなく出かけることにした。
     そこは決して自然度が高いとはいえない小さな池で、花を滅多に咲かせないというこの花がびっくりするほど多く咲いていた。
     大喜びして撮影したが、滅多に咲かない花が多数花をつけるというのは、水質などに危険を感じ、子孫を残すために咲いているのではないかと、急に心配になった。
     果実(堅果)も面白い形をしているようで、そのうち撮影に訪れたいと思っているが、いつまでも変わらずに残っていて欲しいと心から願わずにはいられなかった。

  • 葉

    同じ科の仲間の花
群生

ヒシモドキ2

花