ノアザミ(野薊)

Cirsium japonicum


ノアザミ1


  • 科名・属名 : キク科 アザミ属
     注.APG分類では、学名(C. japonicum var. japonicum)

  • 特徴 :
     草丈0.5〜2mの多年草。
     茎は直立またはわずかに傾き、太くて単純か中部以上で分枝し、クモ毛と褐色の多細胞毛が密生または疎ら、時に無毛となるなど変化が多い。
     根出葉は花時にも残り、狭卵形〜狭楕円形で羽状中裂し、長さ15〜40cm、幅4〜10cm。裂片は5〜6対、長さ2〜5mmの刺があり、質は革質〜草質、時に肉質で光沢がある。茎葉は基部で茎を抱き、刺は長さ5〜10mm。
     頭花は枝先に上向きに咲き、紅紫色で径4〜5cm。花冠は長さ18〜23mm、両性小花は淡紅紫色、雌性小花は朱紫色、狭筒部は広筒部より短い。総苞は鐘形、幅15〜20mm、径14〜16mm、紫色〜緑色、無毛か疎らにクモ毛がある。総苞片は6〜7(〜9)列で圧着し、総苞外片は狭卵形、長さ5〜10mm、内片より明らかに長い。腺体は全ての総苞片にあり、著しく粘る。
     果実(痩果)は長さ約3mm、灰褐色。冠毛は長さ10〜20mm。
     花の白いものがあり、
     ●シロバナノアザミ(f. albiflorum)(左下の写真)という。

  • 分布・生育地 :
     本州〜九州 (国外:台湾)
     山野

  • 花期 :   5〜10月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2005年5月20日  鳥取県岩美郡
     中1・全体2 2019年5月18日  千葉県いすみ市
     (上は拡大写真あり、写真をクリック)
     中2・花    同  上
     中3・総苞1 2011年7月15日  高知県土佐市
     中4・総苞2 2018年6月8日  新潟県南魚沼市
     左下・シロバナ 1993年8月1日  山梨県大菩薩峠
     (左下は拡大写真あり、写真をクリック)
     右上・葉 2011年7月15日  高知県土佐市
     右中・葉(刺) 2019年5月18日  千葉県いすみ市
     右下・茎 2018年6月8日  新潟県南魚沼市

  • 撮影記 :
     アザミ類はよく似ているうえに雑種もできやすく区別しにくいが、夏〜秋にかけて咲くものがほとんどで、春咲くアザミはこの花しかない。
     そのうえ、本州〜九州にかけての山野で普通に見られるので、普通アザミといえばこの花を指すと考えていいだろう。
     総苞は粘着し、真ん中の花の写真にもアリがくっついているのが見えるが、それで養分を摂っている訳ではない。
     まだ伸びきらない青い稲をバックに咲く紅いアザミを見ると、日本の田舎の原風景を感じさせる。

  • 葉

    葉(刺)

    茎

    同じ科の仲間の花
ノアザミ2

花

花

総苞

シロバナノアザミ