リョウノウアザミ(両濃薊)

Cirsium grandirosuliferum


リョウノウアザミ1

  • 科名・属名 : キク科 アザミ属

  • 特徴 :
     草丈60〜150cmの多年草。
     茎は直立し、上部で分枝し、上部に褐色の多細胞毛とクモ毛が疎らにある。
     根出葉は花時にも枯れず、葉身は狭長楕円形〜披針形、長さ12〜60cm、幅5〜20cm。羽状に浅裂〜中裂して裂片は5〜11対となるか粗い鋸歯縁となる。質はやや革質、上面には褐色の短毛があるが裏面は無毛、刺は2〜5mm。葉柄は長さ1.5〜10cm、基部は茎を抱かない。茎葉は披針形、基部は茎を抱かない。
     頭花は単生または2〜数個が総状に疎らにつくか、2〜3個が塊状につき、直立して咲く。頭花の基部には線形〜披針形の小さな苞葉がつき、柄の長さは5〜13cm。花冠は紅紫色、長さ14〜18mm、狭筒部は長さ7〜9mmで広筒部より長い。総苞は筒形、明るい緑色で長さ13〜16mm、径6〜8mm、クモ毛がある。総苞片は11〜12列、圧着して先端のみが斜上し、外片は卵形、長さ2mmで内片の1/5程度の長さ、先端は尾状に伸びて斜上する。腺体は総苞内片と中片にあり、狭倒卵状披針形〜線形、著しく粘る。
     果実(痩果)は灰褐色、長さ約4mm。冠毛は長さ12〜15mm。

  • 分布・生育地 :
     本州(長野県中西部、岐阜県中東部・東濃丘陵) (国外:日本固有)
     山間の湿地、沢沿い、田畑の畦

  • 花期 :   10〜11月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2019年9月21日  岐阜県中津川市
     中上・全体2、以下全て    同  上
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)

  • 撮影記 :
     中津川市で湿地性の植を撮影し、次の目的地に向かう途中、道端の湿った法面にアザミが咲き始めているのが目に入り車を降りた。
     アザミ類に詳しい花仲間が調べた結果、これから撮影に向かう目的のアザミの本種ということがわかった。
     アザミ類はどれもよく似ていて同定が難しいが、本種は根出葉が花時も枯れず、頭花は小型で多数、上向きに咲き、総苞片は11〜12列、圧着して先端のみが斜上し、著しく粘るのが特徴とされる。
     このアザミの分布域が長野県(信濃)中西部〜岐阜県中東部(美濃)に渡ることから、両濃(リョウノウ)の和名がつけられている。

  • 根出葉

    茎葉

    葉(裏)

    同じ科の仲間の花
リョウノウアザミ2

花

総苞

茎