ヤブデマリ(藪手毬)

Viburnum plicatum var. tomentosum


ヤブデマリ1


  • 科名・属名 : スイカズラ科 ガマズミ属
     注.APGV、W分類ではガマズミ科(VIBURNACEAE)

  • 特徴 :
     高さ2〜6mの落葉小高木。
     枝は水平に開出し、樹皮は灰黒色で、枝には皮目が散生する。
     葉は対生、葉身は楕円形〜倒卵形で、長さ5〜12(-16)cm、幅3.5〜7cm。先は短く尖り、基部は円形か広いくさび形、縁には鈍鋸歯がある。表面には細かい柔毛と放射状の星状毛があり、側脈は7〜12対で表面ではわずかにへこみ、裏面に突出する。葉柄は長さ1.2〜2.5cm、密に細かい星状毛がある。
     花は枝先の短い側枝の先に1対の葉とともにつき、径5〜10cmの散房花序となり、周辺に数個の大きな不稔の花がある。不稔の花は、径2〜4cm、白色で不同に5裂し、裂片は倒卵形、長さ6〜17mm、普通1裂片がとても小さい。完全花の花冠はやや車状、クリーム色を帯びた白色、径3.5〜5mmで5裂する。花筒は長さ1〜1.5mm、裂片は卵形、長さ約1mm、開出するかやや反曲する。萼は長さ約5mm、5歯がある。雄しべは花冠より長く突出するか、または短く、花冠の基部付近につく。花糸は長さ3〜4.5mm、葯は帯黄色、長さ約1mm。
     果実(核果)は楕円形で扁平、長さ5〜7mm、厚さ2.5〜3.5mm、紅くなり後に黒熟する。核は楕円形で扁平、長さ4〜5.5.mm、厚さ1〜1.5mm。

  • 分布・生育地 :
     本州〜九州 (国外:中国、台湾(北部))
     山地、丘陵地の谷や川沿いの湿った林内

  • 花期 :   5〜6月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2012年5月13日  東京都高尾山
     中上・全体2 2012年5月24日  滋賀県高島郡
     中中・全体3 2022年5月25日  栃木県宇都宮市
     (上、中上、中中は拡大写真あり、写真をクリック)
     中下・花序 2012年5月13日  東京都高尾山
     左下・花(完全花) 2013年5月16日    同  上
     右上・葉1 2022年5月25日  栃木県宇都宮市
     右下・葉2    同  上

  • 撮影記 :
     初夏の頃、山地の沢沿いで横に広がる枝の上に多数花を咲かせている。
     樹木にあまり興味のなかった頃には気がつかなかったが、白い装飾花をつけた花は遠くからでも目立つ。
     5月初めの高尾山は新緑を楽しむ登山客が多くて落ち着かないため、人の少ない狭い沢沿いの道に入ったところ、沢の開けた明るい斜面にこの花が咲いていた。

  • 葉1

    葉2

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花序

完全花(両性花)