
|
- 科名・属名 : アカバナ科 ヤナギラン属
注.APG分類では、本州(中・北部)のものはウスゲヤナギラン(C. angustifolium subusp. circamvagum)とされ、以下の記述はウスゲヤナギランのものとする
- 特徴 :
草丈1〜1.8mの多年草。
地下茎は長く匐枝状に伸び、しばしば群生する。
茎は直立して分枝せず、上部に疎らに毛がある。
葉は互生、葉身は長披針形で長さ5〜20cm、幅1〜3cm。先は鋭形、基部はくさび形、縁は疎らに欠刻状の小鋸歯がある。表面は縁に沿って脈が目立ち、裏面は白色を帯び、脈上に曲がった短毛がある。
花は総状花序となって多数つき、横向きに咲く。花弁は倒卵形、紅紫色で長さ13〜17mm、幅6〜8mm。花柄は長さ5〜15mm、基部に線形の小苞がある。萼筒は子房より上に伸びず、裂片は4個で線状披針形、長さ9〜15mm。雄しべは8個、1列に並び、花糸は反曲し、基部は広がる。葯は長楕円形で丁字状につく。花柱は合生し、柱頭は4裂する。
果実(刮ハ)は線形で細く4稜があり、長さ5〜8cm、短い伏毛がある。種子は長楕円状卵形で多数あり、長さ約1mm、種髪は白色で長い。
- 分布・生育地 :
本州(中部〜東北地方南部) (国外:アジア、ヨーロッパ、北アメリカに広く分布) 高原の草地
- 花期 : 6〜8月
- 撮影月日・場所 :
上・全体1 2005年7月31日 山梨県夜叉神峠 中上・全体2 1979年8月16日 山梨県北岳 (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック) 中下・花 2005年7月31日 山梨県夜叉神峠 左下・果実(刮ハ・種髪) 2001年9月23日 山梨県東山梨郡 右下・葉 2023年9月17日 山形県天童市
- 撮影記 :
スキー場の斜面で、アルプスの高峰をバックに群生する写真を見かけたことがあり、そんな写真を写したいものだと思っていた。
アルプスの山麓や高原でよく見かけるのだが、一面濃いピンク色に染める光景には出会えず、やや寂しい写真でアップせざるを得なかった。
この花は荒地などに最初に進出するパイオニアの要素が強く、一時的に大群落を作っても植生が安定してくると勢いが衰えてしまい、後日訪れても期待した光景に出会えないことが多い。
下は果実(刮ハ)がはじけ、種髪をつけた種子が、これから新たな住処を求めて飛び出そうとしている所である。
種名の欄に記したが、以前の図鑑ではヤナギランは北海道〜本州(中部地方以北)に分布とされていたが、APG分類では北海道〜本州(東北地方北部)の分布するものがヤナギランとされ、本州(中部〜東北地方南部)に分布するものはウスゲヤナギランに分けられた。
違いはヤナギランの茎や葉が無毛で葉は全縁なのに対し、ウスゲヤナギランでは疎らに毛があり、葉の縁は疎らに欠刻状の小鋸歯があることとされている。
写真は全てウスゲヤナギランの分布域で撮影したもので、現在ではウスゲヤナギランとするのが正確だろう、

同じ科の仲間の花
|