イヌブナ(犬橅)

Fagus japonica


イヌブナ1


  • 科吊・属吊 : ブナ科 ブナ属

  • 特徴 :
     高さ25mになる落葉高木。
     太いものは径70cmになり、樹皮は灰黒色で、多数のいぼ状の皮目がある。若枝は暗紫色で、初め淡褐色の軟毛が密生する。
     葉は互生、葉身は長楕円形~卵状楕円形、長さ5~10cm、幅3~6cm。先は鋭尖形で鈊頭に終り、基部は広いくさび形(稀に円形)、縁に波状の鈊い鋸歯がある。洋紙質で、初め両面に伏した長い軟毛があるが、表面は後無毛になり、裏面は残り、特に脈上には密になる。葉柄は長さ4~9mm。托葉は倒披針形で早落性、長さ2~2.5cm、褐色で軟毛がある。
     花は雌雄同株。葉の展開と同時に開花し、雄花序は新枝の下部の葉腋に数個ついて下垂し、6~15個の雄花が頭状につく。花序は長軟毛を密生し、柄は長さ2.5~4cm。雄花の花被片は倒円錐形、長さ4.5~5mm、先は6裂、裂片の先は円形、長い軟毛を密生する。花柄は長さ5~10mm。雄しべは12個、花糸は長さ約5.5mmで、葯は花被の外に出る。雌花序は新枝の上部の葉腋に上向きにつき、頭状で、長さ約5mmの長軟毛を密生する柄がある。総苞は径約5mm、中に2花があり、4裂し、外側に短毛が密生する。花柱は3個、下部は合着、上部は離生し、線形で反り返る。
     果実(堅果)は3稜のある長卵形で、長さ1~1.2cm、長さ2.7~5cmの柄の先に垂れ下がり、その年の秋に熟す。穀斗は楕円形、長さ約5mm、外側には卵状三角形の柔らかな刺がある。

  • 分布・生育地 :
     本州(岩手県以南)~九州(熊本県以北)(東北・中部の日本海側の多雪地域にはほとんど分布しない) (国外:日本固有)
     やや乾燥した山地

  • 花期 : 4~5月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2015年4月17日  宮崎県東臼杵郡
     中上・全体2、以下全て    同  上
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)

  • 撮影記 :
     ブナに似ているが、本種の樹皮の方が黒っぽいのでこの和吊が付けられている。
     ブナが多雪地域に多く分布するのに対し、本種は太平洋側のやや乾いた山地に分布し、標高もより低い地域に分布する。
     よく訪れる東京都の高尾山には両種が分布するが、高木の上部の新枝の先に花をつけることからなかなか写真を撮れるような場に巡り合えず、分布南限に近い宮崎県の尾根の展望台近くに咲いているのを撮影した。

  • 新葉

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