- 科名・属名 ： ブナ科 クリ属
- 特徴 ：
高さ１５〜２０ｍの落葉高木。
幹は太いものは径１ｍになり、枝は多数分枝して大きな樹冠を作る。樹皮は灰黒色〜灰色、老木になると縦に深い割れ目が入る。若枝は淡緑色、黄褐色の星状毛または微毛を散生するが、次年度以降は紫黒色で無毛になり、小さな円形の皮目を散生する。
葉は互生、葉身は長楕円形〜長楕円状披針形、長さ７〜１４ｃｍ、幅３〜４ｃｍ。先は鋭尖形、基部は円形〜心形、縁は先が芒状の鋭い鋸歯がある。質は薄い革質、表面は濃緑色でやや光沢があり、中脈に沿って星状毛がある他は無毛。裏面は淡緑色で、初め星状毛や軟毛が密生するが、後中脈や側脈に軟毛が残るだけになり、小さな腺点が多数ある。葉柄は長さ０．５〜１．５ｃｍ。托葉は卵状披針形で早落性、長さ８〜１０ｍｍ。
花は雌雄同株、花序は新枝の葉腋から、長さ１０〜２３ｃｍの尾状花序を直立〜斜上する。花序には星状毛を密生し、ほとんどが雄花からなり、先端部に１〜２個の雌花がつく。雄花は普通７個が半円形の苞の脇に集散状に集まり、無柄で、長さ約１ｍｍ。花被片は６個、半円形で淡緑色、縁に短毛がある。雄しべは約１０個、長さ約４．５ｍｍ、花被片の外に飛び出す。雌花は各総苞に３個つき、広卵形で長さ約０．８ｍｍ。花柱は９〜１０個、針状で長さ約３ｍｍ、総苞の外に飛び出る。総苞は（熟すといがになる）は球形、花時には径約３ｍｍ、総苞片は多数、線状披針形で先端は鋭い鱗片状。
果実（堅果）は扁円形で大きさは変化が大きく、その年の秋に熟す。穀斗（熟した総苞）は扁平な球形、外面に長さ約１ｃｍの刺を密生する。穀斗は熟すと４裂し、中に普通３個の堅果が入る。 - 分布・生育地 ：
北海道（石狩・日高地方以南）〜九州（屋久島まで） （国外：朝鮮(中南部)）
丘陵、山地 - 花期 ： ５（下）〜６月
- 撮影月日・場所 ：
上・全体１ 2022年6月22日 埼玉県入間市
中１・全体２、以下全て(除く果実) 同 上
(上、中１は拡大写真あり、写真をクリック）
中４・果実(堅果)１ 2022年8月25日 東京都八王子市
左下・果実２ 同 上 - 撮影記 ：
クリの仲間は北半球の暖帯〜温帯に１０種が知られ、日本には１種が自生し、果実（堅果）は重要な食用として用いられている。
このため、実の小さな野生種だけでなく改良品種が多く作られ、広く栽培されている。
写真は関東平野の丘陵地の斜面、雑木林の中にポツンと生えていたものを撮影したが、本来の自生種なのか栽培種が逸出したものかははっきりしない。
また、材も耐久性があるので、家の土台や板屋根、彫刻材に使われるほか、薪炭材やシイタケの原木など広く用いられ、人とのかかわりが深い樹である。
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