ハマビシ(浜菱)

Tribulus terrestris


ハマビシ1


  • 科名・属名 : ハマビシ科 ハマビシ属

  • 特徴 :
     茎の長さ1m程度になるの1〜2年草。
     茎は基部で分枝し、枝はさらに分枝し、粗い毛が多い。
     葉は偶数羽状複葉で対生または対生と互生の混じる株がある。葉は大型と小型の2種類の小葉がある。大きい方の小葉は6〜7対の小葉がつき、葉軸は長さ3〜6cm。小さい方は3〜5対の小葉が常に大型の葉に対生してつき、葉軸は長さ1〜3cm。大型葉の小葉は長楕円形で長さ10〜18mm、幅5〜7mm。先は鈍頭〜鋭頭、基部は中肋より下側が大きくゆがみ、全縁で、裏面と縁に白い伏毛がある。小型葉の小葉は5〜12mm、幅2〜5mm。
     花は小型葉の葉腋か、大型葉に対生して1個ずつつく。花柄は長さ1〜2cm。花弁は5個、倒卵形で黄色、長さ5mm。雄しべは10個、2輪につき、環状に並ぶ花盤の基部につく。雌しべは1個、無柄で、子房に白い毛が密生する。萼は5個、狭卵形で次第に鋭く尖り、長さ4〜5mm。
     果実(刮ハ)は径約1cm、熟すと5裂する。果皮は木質で表面に10本の鋭い刺と刺状の毛が多数ある。

  • 分布・生育地 :
     本州(千葉・福井県以西)〜九州 (国外:世界の熱帯〜暖帯の海岸、内陸の乾燥地に広く分布)
     海岸の砂浜

  • 花期 :  7〜10月

  • 撮影月日・場所 :
    上・全体1 2004年9月18日  兵庫県
    中上・全体2、以下全て    同  上
    (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)

  • 撮影記 :
     かってはこの花も房総や鎌倉の浜に生育していたようであるが、この植物が生える砂浜は海水浴場としても適地で、写真のように鋭い棘を持つ果実は、裸足の海水浴客には邪魔者でしかない。
     探しに出かけた浜では「昔は一杯あって取り除くのに苦労した」と言われ、今ではレッドリストの絶滅危惧TB類(EN)とされている。
     しかし、瀬戸内海の浜辺にはこの花がまだあるらしいとの情報を手に入れ、場所を確認するため兵庫県のある役場に電話を入れたところ、当日はわざわざ職員の方が現地まで案内してくれた。
     四方八方に広がった茎の先に淡黄色の花を咲かせ、咲き終わった葉腋には金平糖のような果実がいくつも付いていた。果実に触ると硬くて鋭い刺があり、確かに裸足で踏んだら痛いだろうと実感した。
     「異なれば同じ物でも見方が異なれば、貴重な物にも邪魔物にもなる」当たり前のことであるが、多くのことに通じる教訓と、自戒の念を持った。

  • 葉

    同じ科の仲間の花
ハマビシ2

花

果実(刮ハ)