- 科名・属名 ： カバノキ科 クマシデ属
- 特徴 ：
高さ１０〜１５ｍの落葉高木。
樹皮は暗灰白色で滑らか、皮目は多く隆起する。小枝は帯紫褐色〜帯紫栗褐色で平滑。若枝は初め長圧毛がある。
葉は互生、葉身は卵形〜卵状楕円形（〜倒卵形）、長さ３〜７ｃｍ、幅２〜３．５ｃｍ。先は急に尾状鋭尖形、基部は円形〜時に浅心形、縁には不揃いの重鋸歯がある。質はやや薄い洋紙質、表面は平滑か脈上に絹状圧毛があり、裏面は脈上、脈腋に粗い毛がある。葉柄は長さ３〜１４ｍｍ、初め有毛で、後無毛。
花は雌雄同株、葉の展開と同時に開き、雄花序は前年枝の葉腋から垂れ下がり、無柄で長さ４〜５ｃｍの花序をつけ、多数の雄花を密につける。苞は帯紅色、広卵形〜円状卵形で鋭頭。雄花は花被片がなく、８個の雄しべがあるり、葯の先端は有毛。雌花序は新枝の先につき、長さ２ｃｍの柄があり、上向きまたは垂れ下がる。苞は卵状披針形で早落するが、小苞は対となり、菱状披針形で３浅裂し、１個の雌花をつける。雌花の花被は子房の合着し、４〜５裂する。花柱は短く、先の柱頭は２個、糸状に伸び、帯紅色。
果穂は長楕円柱形で長さ２〜３ｃｍの柄があって垂れ下がり、長さ４〜１０ｃｍ、８〜９月に帯黄褐色に熟す。果苞は長さ１０〜１８ｍｍ、不整な長卵状三角形で基部は３裂し、縁には少数の粗い鋸歯がある。果実(堅果）は広卵形、果苞の側裂片に半ば覆われ、やや扁平で長さ３〜５ｍｍ、表面に７〜１０個の縦条があり、平滑で先端に花被と柱頭が残存する。 - 分布・生育地 ：
北海道〜九州 （国外：朝鮮）
川岸、平地やや水分の多い肥沃な山地 - 花期 ： ４〜５月
- 撮影月日・場所 ：
上・全体１ 2014年4月9日 東京都あきる野市
中１・全体２ 同 上
(上、中１は拡大写真あり、写真をクリック）
中２・雄花序 2014年4月16日 和歌山県新宮市
中３・雄花 2025年4月10日 東京都八王子市
中４・雌花序 同 上
中５・果実１(果穂) 2023年4月14日 同 上
(中５は拡大写真あり、写真をクリック）
左下・果実２(果穂) 2024年8月3日 東京都八王子市
右上・葉(表) 2021年6月21日 東京都日野市
右中上・葉(裏) 2022年5月30日 神奈川県相模原市
右中下・黄葉 2023年11月22日 東京都八王子市
左下・幹 2025年4月10日 同 上 - 撮影記 ：
シデの仲間は花時は非常によく似ていて区別しづらく、葉が伸びてからその形や葉柄の違い、さらに果穂の形などでやっと正しい同定ができる。
この花も花時、苞や葯の先端が紅色を帯びるのである程度判断できるが、時間がたつと紅色が薄くなるのでこれだけで判断するのは難しい。
多摩丘陵の雑木林でも、まだ他の樹木が花や葉を広げきらない時期によく目にする。
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