オオバヤシャブシ(大葉夜叉五倍子)

Alnus sieboldiana


オオバヤシャブシ1


  • 科名・属名 : カバノキ科 ハンノキ属

  • 特徴 :
     高さ5〜10mの落葉小高木〜低木。
     幹は径6〜10cmになり、樹皮は灰褐色〜黄褐色を帯び、無毛で円形の皮目が数多くある。
     葉は互生、葉身は卵形〜長卵形、長さ6〜12cm、幅3〜6cm。先は長く尖り、基部は円形で左右がわずかに歪み、縁には先端が腺に終わる不揃いの重鋸歯がある。側脈は12〜16対、初め多少の毛があるが後無毛、裏面は淡緑色で腺点がある。葉柄は長さ1〜2cm。
     花は雌雄同株、葉の展開と同時に開花する。雄花序は前年の葉腋に1個ずつ湾曲して垂れ下がり、無柄でやや太く、長さ4〜5cm、幅約11mm。雌花序は雄花序の上部の側芽に1個ずつつき、長さ1〜2cmの柄がある。
     果実(果穂)は枝先に集まらずにつき、斜上または開出し、広楕円形で長さ2〜2.5cm、10〜11月に熟す。果鱗は扇形で黒褐色、長さ約8mm。果実(堅果)は狭長楕円形で扁平、長さ4〜5mm、頂部に花柱が残り、両側に左右の幅が不揃いな広い翼がある。

  • 分布・生育地 :
     本州(福島県(南部)〜和歌山県(太平洋側)、伊豆諸島(八丈島) (国外:日本固有)
     海岸近くの山地〜丘陵

  • 花期 : 3〜4月

  • 撮影月日・場所 :
    上・全体1 2014年4月27日  静岡県伊豆半島
    中1・全体2(樹形) 2015年5月8日    同  上
    (上、中1は拡大写真あり、写真をクリック)
    中2・雄花序 2014年4月27日    同  上
    中3・雌花序 2024年4月2日  東京都八王子市
    中4・果実(前年果穂) 2015年5月8日  静岡県伊豆半島
    (中4は拡大写真あり、写真をクリック)
    左下・果実2(果穂) 2014年11月23日  神奈川県三浦半島
    右上・葉(表) 2024年4月2日  東京都八王子市
    右下・葉(裏)    同  上

  • 撮影記 :
     本州(福島県〜和歌山県)の太平洋岸に分布し、尾根沿いなどに多いがやせた土地でもよく育つため、崩壊地などにもいち早く進出している。
     ヤシャブシとよく似ているが、ヤシャブシより葉が大きく、また果穂は写真のように枝の先ではなく途中につくので果時では違いがよくわかる。
     地味な花であるが花期はまだ他の花が咲き揃わない春先で比較的海岸に近い場所なので、分布している地域では注意していれば見つけられだろう。

  • 葉(表)

    葉(裏)

    同じ科の仲間の花
オオバヤシャブシ2(樹形)

雄花序

雌花序

果実(果穂1)

果実(果穂2)