ウラゲエンコウカエデ(裏毛猿猴楓)

Acer mono var. connivens


ウラゲエンコウカエデ1


  • 科名・属名 : カエデ科 カエデ属
     注.APG分類では、ムクロジ科(SAPINDACEAE)で、イタヤカエデ(広義)の品種という整理で、学名(A. pictum subsp. dissectum f. connivens)

  • 特徴 :
     高さ10〜20mの落葉高木。
     幹は太いものでは径50〜60cmになり、樹皮は暗灰色で、老木では縦に浅く裂ける。
     葉は対生、有花枝では1〜2対、さらに上の1対の葉腋から短い枝を出し、1対ずつ小さい葉をつける。無花枝では(1〜)2〜5対つく。葉身は五角形で、長さ8〜19cm、幅7〜15cm、掌状に5〜9深裂し、基部は浅心形〜切形、裂片は披針形〜披針状楕円形、先は尾状鋭尖頭、縁は全縁か波状で、幼木では大きな歯牙のあることが多い。表面は無毛、裏面は主脈上と脈の基部に開出毛がある。葉柄は長さ3〜13cm、枝の下部の葉では葉身より長い。
     花は雌雄同株で一つの花序に雄花と雌花が混生する。花序は有花枝の先に長さ3〜4cmの複総状となり、上向きに10〜50花をつける。花柄は3〜6mm。花弁は5個、淡黄色、へら形で長さ3〜3.5mmで細い。萼片は5個、長楕円形で、花弁とほぼ同長。雄しべは8個、花弁より短い。子房は無毛、花柱は渦巻状になる。
     果実(翼果)は分果で長さ2〜2.5cm、果翼は鋭角に開く。

  • 分布・生育地 :
     本州(岩手〜近畿地方、岡山県)、四国、九州(中部) (国外:日本固有)
     山地のやや湿り気のある谷間、斜面

  • 花期 :  4〜5月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2023年4月11日  東京都八王子市
     中上・全体2、以下果実(左下)を除き    同  上
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)
     左下・果実(翼果) 2023年5月5日    同  上

  • 撮影記 :
     エンコウカエデの葉裏が主脈の脈腋を除いて無毛なのに対し、この花は裏面主脈上に開出毛が多いもの(右中の写真)で、エンコウカエデの変種とする考え方や品種とする考え方がある。
     APG分類の整理では、エンコウカデはイタヤカエデの幼木で品種としているが、葉が深裂する(エンコウカエデにも深裂品があるが)ことや大木もあることなどから、違いは品種レベルではなく変種とする考え方に従った。
     初めて訪れた多摩丘陵のある自然公園、カエデ類の花を捜して上を見上げながら歩いているとこの花が咲いているのが目に入った。
     エンコウカエデと思って撮影し、葉を見ると裏面主脈上に毛が多く本種と判断した。
     本種はエンコウカエデとほぼ分布域は重なっているが、やや内陸山地に多いようである。

  • 葉(表)

    葉(裏)

    幹

    同じ科の仲間の花
ウラゲエンコウカエデ2

花序1

花序2

花

果実(翼果)