オキナグサ(翁草)

Pulsatilla cernua


オキナグサ1


  • 科名・属名 : キンポウゲ科 オキナグサ属

  • 特徴 :
     草丈10〜15cmの多年草。
     根茎は太く、単純か枝分かれし、直立〜斜上する。
     茎は白い毛が密生し、花後が伸びて長さ30〜40cmになる。
     根出葉は3〜6個が束生し、葉身は三角状卵形で、2〜3回羽状複葉または3回3出複葉、長さ4〜15cm、幅3〜10cm。小葉は広卵形〜円状菱形、長さ3〜5cm、幅3〜4cm、深く裂ける。葉柄は長さ2〜18cm、白い伏毛が密生する。茎葉は3個、輪生し、長さ、幅とも3〜5cm、3全裂し、無柄。
     花は茎頂に単生し、鐘形で暗赤紫色、下向きに咲く。花弁状の萼片は6個、楕円形で、長さ(1.5〜)2〜3cm、幅0.8〜1cm、外側には白い長毛が密生する。雄しべは多数、葯は楕円形、長さ約1mm、花糸は長さ2〜10mm、上半部はは糸状、下半部は広がる。
     果実(痩果)は狭卵形〜紡錘形、長さ約3mm、暗褐色で有毛。花柱は花後伸び、長さ3〜4cmになり、灰白色の短毛を密生する。
     これを年寄りの白い髪の毛に見立て、和名翁草の由来となっている。

  • 分布・生育地 :
     本州〜九州 (国外:朝鮮、中国(東北部)、ロシア(沿海地方)
     日当たりのいい草原や川原

  • 花期 :  4〜5月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 1977年4月24日  栃木県塩谷郡
     中上・全体2 1985年4月14日    同  上
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)
     中中・花1  1987年4月19日  滋賀県伊吹山
     中下・花2    同  上
     左下・果時全景 2010年5月9日  熊本県阿蘇
     右上・葉 2023年7月4日  山梨県八ヶ岳

  • 撮影記 :
     昭和50年代初め、野の花を撮り始めた頃参考になる本は少なかった。故富成さんの「春の花」〜「秋の花」シリーズは、撮影地、撮影月日もあり貴重なバイブルだった。
     その中に栃木県の川原で撮影したこの花があり、地図を参考に広い川原を探した。
     暑さの中何kmも歩いたが見つからずあきらめかけた時、川原の穴の縁に咲いているこの花を見つけた。
     花数も少なく立派な株とは言えないが、花と実が同時についていて今でも印象に残る出会いであった。上がその時の写真である。
     その後、他の産地で見たものも盗掘された穴から長い根が残って再生し、花をつけているような株が多かった。
     本州ではこのような自生地が多いが、九州では阿蘇などの牧場の草原に見事な大株が見られる。
     植物体に毒があることとから牛が食べないため、このような植物だけが大きく生長するようだ。

  • 葉

    同じ科の仲間の花
オキナグサ2

花1

花2

果時の全景