ヤブニッケイ(藪肉桂)

Cinnamomum japonicum


ヤブニッケイ1

  • 科名・属名 : クスノキ科 クスノキ(ニッケイ)属
     注.APG分類では、学名(C. yabunikkei)

  • 特徴 :
     高さ15〜20mの常緑高木。
     全体に芳香があり、幹は太いものでは径50cmになる。樹皮は灰褐色〜灰黒色で、小枝は黄緑色で無毛、やや稜がある。
     葉は互生、葉身は卵状楕円形〜長楕円形、長さ6〜12cm、幅2〜5cm。先は短鋭尖頭で鈍端、基部はくさび形、全縁。質は革質、表面は緑色で光沢があり、裏面は黄緑色〜灰白色、3行脈が目立つが、側方の脈は葉の肩辺りで消え、葉先まで達しない。葉柄は長さ0.8〜1.8cm。
     花序は新枝に腋生し、先の方が平たく長い花序柄の先に、数個散形につく。花は黄緑色、花被は筒形で上部は6裂し、長さ約2.5mm。背面は無毛で内面には細毛がある。雄しべは9個、外側の6個は内向し、基部に腺体がなく、内側の3個は外向し、基部に2個の腺体がある。花序柄は無毛。
     果実(液果)は球形〜楕円形、長さ1〜1.2cm、10〜11月頃黒紫色に熟し、浅い杯形の果托の先につき、縁は全縁。

  • 分布・生育地 :
     本州(関東・北陸地方以西)〜沖縄 (国外:朝鮮(南部島嶼)、台湾(蘭嶼))
     山地(シイやタブノキ林に多い)

  • 花期 :   6月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2017年6月14日  静岡県下田市
     中1・全体2 2015年6月20日  神奈川県藤沢市
     (上、中1は拡大写真あり、写真をクリック)
     中2・花序 2013年6月9日  福井県敦賀市
     中3・花1 2017年6月14日  静岡県下田市
     中4・花2 2013年6月9日  福井県敦賀市
     左下・果実 2018年9月13日  鹿児島県南さつま市
     右上・葉(表) 2017年6月14日  静岡県下田市
     右下・葉(裏) 2018年9月13日  鹿児島県南さつま市

  • 撮影記 :
     全体に芳香があり、時に庭木として植栽されることもあり、建築材や器具材に使われるほか、種子からは香油をとり、葉や樹皮は薬用にされるとのことだ。
     高木にもかかわらず花は小さく、散形に疎らにつくため目立たないが、1個1個の花はなかなか美しい。
     秋には楕円形の果実が光沢のある紫黒色に熟し、花よりも目立ち見ごたえがある。

  • 葉(表)

    葉(裏)

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ヤブニッケイ2

花序

花1

花2

果実