ヒメイタビ(姫いたび)

Ficus thunbergii


ヒメイタビ1

  • 科名・属名 : クワ科 イチジク属

  • 特徴 :
     常緑のつる性木本。
     幼苗の茎には開出毛が密生し、若枝には開出する軟毛が密生する。
     葉は互生し、卵形〜卵状楕円形、長さ2〜6cm、幅1〜3cm。先はやや尖り、基部は円形、全縁で表面は無毛、裏面は淡緑色で葉脈が隆起し、脈上に毛がある。側脈は4〜6対、主脈から50〜60度の角度で分岐する。葉柄は長さ3〜10mm、初め褐色の開出毛が密生する。
     雌雄異株、葉腋に1個の花嚢をつける。花嚢は球形で長さ約1cm、表面に白色の毛が散生する。花嚢は雄雌同形。
     果実(果嚢)は球形で径約2cm、灰褐色に熟す。

  • 分布・生育地 :
     本州(千葉県以西)〜沖縄 (国外:朝鮮(済州島))
     林内、林縁

  • 花期 :   7〜8月

  • 撮影月日・場所 :
     2016年5月13日  沖縄県国頭郡
     中 2016年5月14日  沖縄県糸満市
     (上、中は拡大写真あり、写真をクリック)
     下左・花嚢 2016年5月13日  沖縄県国頭郡
     下右・葉    同  上

  • 撮影記 :
     多くの植物は花が咲いたのち形を変えた果実ができるが、イチジク属の仲間は、花序の軸が袋状になって内側に花を包み、花(花嚢)の時も果(果嚢)の時も形はほとんど変わらない。
     従って、花時の華やかさもないので、地味で目立ちにくい植物である。
     多くは高木または低木であるが、つる性(藤本)のものもあり、日本でも3種ほどが知られている。
     つる性の3種はどれもよく似ていて区別しにくいが、本種は果嚢が2cmとやや大きく、葉が卵形〜卵状楕円形で極端に尖らず、側脈が主脈に対し50〜60度でつき、裏面脈上に開出毛があることなどが違いとされている。

  • 葉

    同じ科の仲間の花
ヒメイタビ2

果実(花嚢)