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- 科名・属名 : クワ科 ハリグワ属
注.APG分類V、Wでは、学名(M. cochinchinensis)
- 特徴 :
長さ3m程度の常緑低木。
枝はややつる状で横に広がり、時に15mにもなる藤本になる。茎には長さ1〜2cmの太くて真っ直ぐか、やや先が曲がった鋭く尖る刺がある。若枝には短く、硬い毛がやや密に生える。
葉は互生、葉身は楕円形〜長楕円形、長さ2〜8cm、幅1〜3.5cm。先はやや鈍く、基部はくさび形、全縁か幼木には1〜3個の波状の浅い歯牙がある。質はやや厚く、両面無毛。葉柄は長さ2〜7mm。托葉は狭卵形で先は尖り、長さ約1mm。
花は雌雄異株、葉腋から長さ2〜4mmの太い柄の先に、球形の花序をつける。雄花序は径5〜6mm、多数の雄花があり、花被片と雄しべが4個ずつあり、花被片は倒卵状長楕円形で厚く、先は広がって微毛がある。雌花序は径6〜9mm、多数の雌花があり、花被片4個と1個の雌しべがあり、花被片は倒卵状長楕円形で肉質、先は肥厚して微毛が密生する。
果実(痩果)は花被が液質に肥大して果実を包み、径1.5〜2cmの集合果となり、11〜12月に橙黄色に熟す。
- 分布・生育地 :
本州(山口県)、四国(南部)、九州〜沖縄 (国外:台湾、中国(南部)〜インド、東アフリカ、オーストラリア) 暖地の海岸近くの林縁
- 花期 : 4〜5月
- 撮影月日・場所 :
上・全体1 2019年5月9日 沖縄県西表島 中上・全体2、中中・花(雌花序) 同 上 (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック) 中下・果実(未熟果) 2018年9月13日 鹿児島県南さつま市 左下・枝(刺)、右上、右下・葉 同 上
- 撮影記 :
図鑑でこの植物の果実の写真を見た時は、不恰好な形をしたミカンのイメージだった。事実別名はヤマミカンというそうだ。
属は違うもののイチジクと同じクワ科の植物で、果実のつき方などを見ると納得できる。
その形の面白さにぜひお目にかかりたいものだと思っていたが、南方系の植物のためなかなか出合う機会がなかった。
秋の薩摩半島で初めて未熟なこの植物の果実に出合ったが、予想通り面白い形だった。
翌年、初夏の西表島の道端でやっとこの花(雌花序)に出合えた。果実を一回り小さくしたような同じ形で、ヒョロヒョロ伸びた花柱が出ているのだけが違いだった。
残念ながら橙黄色に熟した果実は見ていないが、熟すと食べることができるそうで、どんな味がするのか楽しみだ。
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