ムラサキモメンヅル(紫木綿蔓)

Astragalus adsurgens


ムラサキモメンヅル1

  • 科名・属名 : マメ科 ゲンゲ属
     注.APG分類では、学名(A. laxmannii)

  • 特徴 :
     草丈10〜40vmの多年草。
     茎は長く地を這い先は立ち上がる。
     葉は奇数羽状複葉で、小葉は17〜21個。小葉の葉身は長楕円形〜狭長楕円形、長さ7〜20mm、幅3〜8mm。表面は無毛、裏面はまばらに白色の短毛がある。托葉は葉の背面で半ば以下が合着し、膜質で鋭頭、長さ3〜6mm。
     花は花茎の先に、長さ3〜14cmの総状花序となり、10〜20個の蝶形花をつける。花冠は紅紫色〜青紫色、長さ12〜20mm、旗弁は他の花弁より著しく長い。萼は長さ5.5〜9mm、黒褐色と白色の伏毛が生え、萼筒は長さ5〜7mm、萼裂片は5個、線形で背軸側の最下裂片は他の裂片よりやや長く、長さ3〜4mm。
     果実(豆果)は長楕円形で湾曲し、先が急に嘴状に尖り、長さ1.5〜2cm、白い軟毛が目立つ。

  • 分布・生育地 :
     北海道(西南部)、本州(岩手、中部地方) (国外:中国、モンゴル、カザフスタン、ロシア(中央アジア、東シベリア、極東)
     山地〜高山の砂礫地

  • 花期 :   7〜8月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 1983年7月31日  山梨県富士山
     中上・全体2、中中・花序    同  上
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)
     中下・花 2011年8月9日  静岡県富士山
     左下・果実(豆果)    同  上
     右下・葉 2020年8月19日  山梨県富士山

  • 撮影記 :
     日本一の高さを誇る富士山は、花好きにとっては日本一ではなく、溶岩や火山礫の荒原が続く植物の少ない山のイメージである。
     ところが、他の植物がまだ入り込んでいない荒原にいち早く根付く植物は、かえって他の山ではあまり見られない花も多い。
     この花もその一つで、水気の全くない火山礫の上に緑の葉を広げ、淡い紅紫〜青紫色の花を咲かせる姿には感動すら覚える。
     夏の富士山は大勢の登山客で賑わうが、頂上を目指さず中腹を巻く「お中道」は、歩く人も少ない多くの花が楽しめる好スポットである。

  • 葉

    同じ科の仲間の花
ムラサキモメンヅル2

花序

花

果実(豆果)