イスノキ(いすのき)

Distylium racemosum


イスノキ1


  • 科名・属名 : マンサク科 イスノキ属

  • 特徴 :
     高さ8〜10(〜30)mの常緑高木。
     幹の太いものは径80cmになり、樹皮は暗灰色で、老木ではうろこ状に剥がれる。若枝には褐色の星状毛がある。
     葉は互生、葉身は倒卵形〜長楕円形、長さ3〜9cm、幅1.5〜3.5cm。先は狭くなって先端は鈍く、基部は鋭形、縁は全縁で時に上部に少数の歯牙がある。質は革質で厚く、表面は滑らかで、両面無毛。葉柄は長さ2〜4mm。托葉は長さ約4mm、早落性。
     雌雄同株、花は葉腋に長さ2〜4cmの総状花序を伸ばし、上部に両性花、下部に雄花をつける。花序軸に星状毛がある。包葉は卵形で、長さ3〜4mm。花柄は長さ1〜2cm。花弁は無く、両性花には褐色の星状毛におおわれた雌しべがあり、花柱は2本、細くて淡赤色。で星状毛上部は2裂する。雄しべは5〜8個、花の外に伸び、葯は赤色で目立つ。萼片は3〜6個、三角状卵形で先がとがり、長さ約2.5mm、外面に星状毛が密生する。
     果実(刮ハ)は広卵形、長さ7〜10mm、表面に灰白色の星状鱗毛が密生する。熟すと2裂し、楕円形で長さ5〜8mmの種子を出す。
     アブラムシによる虫えいができやすく、
     別名 ヒョンノキ と呼ばれる。

  • 分布・生育地 :
     本州(静岡県以西)〜沖縄 (国外:朝鮮(済州島)、中国(中南部)、台湾)
     常緑樹林内

  • 花期 :  4〜5月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2024年4月1日  大分県豊後高田市
     中上・全体2、中中・花    同  上
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)
     中下・果実(刮ハ) 2024年3月31日  大分県大分市
     左下・イスオオムネアブラムシの虫えい 2024年4月1日  大分県豊後高田市
     右上・葉(表) 2024年3月31日  大分県大分市
     右中・葉(裏)、右下・ヤノイスアブラムシ?の虫えい    同  上
     (左下、右下は拡大写真あり、写真をクリック)

  • 撮影記 :
     春先訪れた大分県、この時期咲く花を調べるとこの花があり、どこかで見られないかと思っていたが、最初に訪れた場所では花は無く、種子を出した果実(刮ハ)と虫えいが見られただけだった。
     翌日訪れた神社の境内で20mを超える大木にわずかに数輪咲き始めた花を見つけ、何とか撮影することができた。
     びっくりしたのは大人の拳よりも大きな虫えいがぶら下がっていることだった。
     この木は常緑樹林内に生える高木であるが、アブラムシによる虫えいができやすいらしく、9種ものアブラムシが記録されているとのことで、この大きなもの「イスオオムネアブラムシ」(左下の写真)の虫えいのようだ。
     別名の「ヒョンノキ」も大きく膨らんだ虫えいからアブラムシが出た後の穴を吹くと「ヒョウ」と鳴るのでこう呼ばれていて、沖縄の方言と言われている。

  • 葉(表)

    葉(裏)

    ヤノイスアブラムシ(?)の虫えい

    同じ科の仲間の花
イスノキ2

花

果実(刮ハ)

イスオオムネアブラムシの虫えい