マタタビ(木天蓼)

Actinidia polygama


マタタビ1

  • 科名・属名 : マタタビ科 マタタビ属

  • 特徴 :
     落葉性のつる性木本。
     枝はよく枝分かれし、髄は白色で中実。樹皮は紫黒色で、若いうちは淡褐色の軟毛がある。
     葉は互生、葉身は広卵形〜楕円形〜やや長楕円形、長さ6〜15cm、幅3.5〜8cm。先は鋭尖頭〜急鋭尖頭、基部は普通切形〜円形、縁には尖った低鋸歯がある。質は薄く、両面脈上に硬い毛が散生し、裏面は淡緑色で、葉腋に淡褐色の毛がある。枝の先につく葉は、花時に表面全体または上部が白色になる。葉柄は長さ2〜7cm。
     花は雄株と両性花をつける株があり、本年枝の中部付近の葉腋に1(〜3)個が下向きに咲く。花は白色で芳香があり、径2〜2.5cm。花弁は5個、広楕円形〜広倒卵形、長さ1〜1.2cm。雄しべは多数、葯は黄色。両性花の子房は長楕円形で無毛、長さ4〜6mm、花柱は線形で多数あって放射状に開き、長さ約3mm。萼は5個、卵形〜楕円形、長さ約5mm、膜質で縁近くに白色の細毛がある。
     果実(液果)は長楕円形で先は嘴状に細くなり、長さ2〜2.5cm、10月ごろ橙黄色に熟す。種子は多数あり、長さ約1.5mm。

  • 分布・生育地 :
     北海道〜九州 (国外:朝鮮、中国、ウスリー)
     山地や丘陵、原野の林縁

  • 花期 :   6〜7月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2014年6月16日  東京都八王子市
     中1・全体2 2018年6月24日  新潟県南魚沼市
     (上、中1は拡大写真あり、写真をクリック)
     中2・雄花序 2013年6月30日  東京都八王子市
     中3・雄花 2014年6月16日    同  上
     中4・両性花 2017年7月9日  山形県最上郡
     中4・果実1 2014年8月20日  岩手県花巻市
     左下・果実2    同  上
     右下・葉 2012年6月15日  千葉県君津市

  • 撮影記 :
     この植物を見たことがなくても、猫が好きな植物として名前だけは知っている方は多いだろう。
     北海道〜九州の山地や丘陵の林縁に多く、夏の初めに下向きの白い花を咲かせているのをよく見かける。
     果実も細長く面白い形をしているので、花を見つけたら夏以降には気をつけて果実を探してほしい。
     また、猫が好きなだけでなく人間にとっても有用で、果実は辛味と独特の香りがあり、食用とされるほか果実酒としても用いられる。
     和名の漢字として「木天蓼」を当てたが、これはマタタビバエが産卵して虫嬰(虫こぶ)となったものを漢方薬としてこう呼んでいて、身体を温める効果があることから、鎮痛剤や強壮、中風などに使われている。果実にも同様の効用があるようだ。

  • 葉

    同じ科の仲間の花
マタタビ2

雄花序

雄花

両性花

果実(未熟果)

果実(アップ)