カラタチ(唐橘)

Poncirus trifoliata


カラタチ1


  • 科名・属名 : ミカン科 カラタチ属
     注.APG分類では、ミカン属(Citrus)、属小名以下変わらず

  • 特徴 :
     高さ2〜3mの落葉高木。栽培逸出。
     樹皮は灰緑褐色で細長い溝ができ、若枝は緑色で無毛。長さ1〜3.5cmの刺が互生し、下部は扁平で太い。
     葉は互生、3小葉からなり、倒卵形〜長楕円形、長さ3〜5cm、幅0.8〜2cm。頂小葉は他の小葉より大きい。先は鈍く、腺体があってやや凹み、縁には基部に腺体のある微小な鋸歯がある。葉柄には翼がある。
     花は前年の枝の腋に1個ずつつき、葉の展開する前に咲き、径3.5〜5cm。花弁は5個、白色で芳香があり、倒卵状長楕円形で先は円く、長さ1.5〜2cm、花弁と花弁の間は広く空く。萼片は5個、卵形で先は円い。雄しべは約20個。子房は球形で白色の軟毛が密生し、6〜8室からなる。花柱は棒状で太く、先は頭状に膨らむ。
     果実(ミカン状果)は球形、径3〜5cm、10月頃黄色に熟し芳香があるが、苦くて種子が多く食用には適さない。種子は卵形、長さ1〜1.3cm。

  • 分布・生育地 :
     中国原産(各地で時に野生化) (国外:不明)
     人家近くの林縁、空地など

  • 花期 :  4〜5月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2024年4月13日  東京都八王子市
     中1・全体2 2024年4月11日    同  上
     (上、中1は拡大写真あり、写真をクリック)
     中2・花序 2024年4月13日    同  上
     中3・花    同  上
     中4・果実1(ミカン状果) 2007年9月29日  長崎県対馬
     左下・果実2 2023年11月2日  東京都八王子市
     右上・葉、右下・枝の刺    同  上

  • 撮影記 :
     晩秋、多摩丘陵の谷戸の奥の植物観察をしていると、雑木林の中に黄色のミカン科の果実がついているのに気がついた。
     果実を引き寄せてみると径4cm位で果皮に毛が生えていて、枝には鋭く長い刺が生えていた。
     帰って調べると、図鑑では「中国原産で柑橘類の台木や生垣などに用いられ広く栽培されているが、時に野生化している」とのことだったが、民家や果樹もないこんな場所になぜ生えているのか不思議に思った。
     翌年、花期を見計らって現地を訪れると、まだ葉を開かない枝に白い花が点々と咲いていて、花には芳香があった。

  • 葉

    枝の刺

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カラタチ1

花序

花

果実1(ミカン状果)

果実2