コオトギリ(小弟切)

Hypericum hakonense


コオトギリ1


  • 科名・属名 : オトギリソウ科 オトギリソウ属

  • 特徴 :
     草丈10〜40(〜50)cmの多年草。
     茎は数本が株立ちするか叢生し、直立〜斜上、時に分枝し、細くて節間は長さ5〜22mmと葉より短く、稜に沿った腺点はない。
     葉は対生、葉身は披針形〜楕円形、長さ0.8〜3cm、幅0.2〜0.6(〜1)cm。先は円頭、基部は円形〜くさび形、縁は全縁。質はやや厚く、内側に黒点があり、明点と赤点が混じり、縁に黒点があり時に明点がある。葉柄は無いかあっても約1mmと短い。
     花は茎頂または枝の先に1〜10個が集散状につき、径1.2〜1.6cm。花柄は長さ1〜3mm。花弁は5個、倒卵状楕円形〜倒卵形で円頭、黄色で普通赤味は帯びず、長さ6〜9.5mm、幅3〜4.5mm、径1.5〜1.8cm、内側に黒腺と黒点があり、辺縁に黒点がある。萼片は5個、披針形〜楕円状線形で不同長、長さ4〜6mm、幅0.6〜1.5mm、内側に黒腺と黒点があり、辺縁に黒点と明点がある。雄しべは30〜35個、3束にまとまり、長さ4〜8mm、葯に黒点がある。花柱は3個、長さ2.5〜3.5mm。
     果実(刮ハ)は狭卵状円錐形で細長く、長さ(4.5〜)6〜8.5(〜10)mm。種子は長楕円形で暗褐色、長さ約0.8mm。
     葉に黒点のみがあるものがあり、
     ●クロテンコオトギリ(f. imperforatum)(左下の写真)という。

  • 分布・生育地 :
     本州(東京都・神奈川・山梨・静岡県) (国外:日本固有)
     山地草原、日当たりのいい岩場

  • 花期 :  7〜8月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2007年7月28日  神奈川県箱根
     中上・全体2、以下左下(クロテン)を除き    同  上
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)
     左下・クロテン 2021年7月20日  静岡県富士市

  • 撮影記 :
     フォサマグナ要素とか富士箱根要素と呼ばれる植物で、り箱根や富士周辺だけに分布している。
     以前から知ってはいたもののなかなか撮影の機会がなく、出かけてみようと思い立ったのは2007年だった。
     平地は朝から30度を超える暑さ、山上はいくらか涼しいかと期待していたが、照りつける日差しは強く、少し動くだけで汗が噴き出してきた。
     程なく、日当たりのいい岩場のあちこちに咲く黄色の花が見つかった。この仲間の特徴は葉や花弁の黒点や明点にある。
     全体の撮影が済んだ後、黒点などの様子がわかる株はないかなと探すと、右下の写真のようにいい具合に逆光で透けて見える葉がみつかり、黒点は葉の縁だけで中は明点しかない様子が撮影できた。

  • 葉

    葉(裏)

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コオトギリ2

花序

花

クロテンコオトギリ