|
- 科名・属名 : サガリバナ科 サガリバナ属
- 特徴 :
高さ10m位になる木本。
葉は枝先に集まってつき、ほとんど柄がなく、葉身は倒卵状長楕円形、長さ10〜30cm。先は鋭尖頭、基部は狭まって多少耳状に張り出し、波状縁〜全縁。質は革質で無毛。
花は枝先および葉腋から長さ20〜60cmの花序を下垂し、淡紅色〜白色の花を多数つける。花弁は卵状長楕円形〜披針形で、長さ2〜2.5cm。萼は初め閉じているが、のち不規則に2〜3裂し、裂片は卵形で内側がくぼむ。雄しべは多数つき、白色で長さ3〜4cm。花柱は長さ約3.5cm。
花は夜に咲き、夜明けとともに落下する。
果実は卵円形〜長楕円状卵円形でやや角ばり、長さ5〜6cm、先端に宿存萼があり、外果皮は革質、緑色〜帯紫色。
- 分布・生育地 :
九州(奄美大島以南)〜沖縄 (国外:中国、台湾〜インド、ポリネシアの熱帯、亜熱帯域) マングローブ後背地の湿地
- 花期 : 6〜7月
- 撮影月日・場所 :
上・全体1(紅色) 2004年7月12日 沖縄県西表島 中上・全体2(白色)、中下・花 同 上 (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック) 左下・果実 2004年10月2日 同 上 右下・葉 2022年7月12日 同 上
- 撮影記 :
奄美大島以南の川沿いに自生するサガリバナ科のこの花、夜に花が咲き陽が昇るころには落ちてしまう。鑑賞ツアーもあるなど、島の夏を代表する花だ。
この花に会うため夜明け前の薄暗い道を急ぐ。この木の生える湿地は、夜間に活動するハブの棲家で、一瞬たりとも気が抜けない。
しかし、たどりついた湿地には、そんな苦労を吹き飛ばす素晴らしい光景が広がっていた。
まだ明けきらぬ暗緑色の葉、その間から淡紅色の細い花糸を広げた花序が垂れ下がっている。むせるような芳香に包まれ、まるで別世界にいるようだ。言葉では表現しきれないこの美しさ、写真からその雰囲気が感じてもらえるだろうか。
時間を忘れて撮影していると、ポタッポタッという音が聞こえてきた。一つまた一つと花が落ちる音だ。いつの間にか薄暗かった空も明るくなり、夢の世界から引き戻されると、急にお腹がすいてきた。
同じ科の仲間の花
|