タチスミレ(立菫)

Viola raddeana


タチスミレ1


  • 科名・属名 : スミレ科 スミレ属

  • 特徴 :
     草丈30〜50(〜100)cmの多年草。
     有茎種。地下茎は短い。茎は2〜3本が叢生する。
     葉は互生、根出葉は花時には枯れていることが多い。下部の葉の葉身は三角状披針形〜長披針形、3.5〜5cm、幅1.5〜1.8cm。上部のものほど細長く、長さ4〜8cm、幅1.5〜2cm。先は鈍頭、基部は切形〜浅い心形、くさび形、低くて波状の大きい鋸歯がある。質は薄く、両面とも深緑色で無毛。葉柄は長さ2〜5cm、上方に翼がある。托葉は葉状、披針形〜線状披針形、長さ3〜6cm、少数の大きな鋸歯がある。
     花は葉腋から出た花柄の先につき、淡紅紫色〜白色、径約1cm。花柄は長さ3〜10cm。花弁は長さ8〜10mm、幅3.5〜5mm、側弁の基部は有毛、唇弁のは他の弁より短く、紫色の条が目立つ。距は太くて短く、先端は嚢状、長さ1〜2mm。花柱は立襟形(カマキリの頭形)、上部は両翼が左右に張り出し、柱頭の周囲に襟を立てたような低い円筒状の隆起がある。萼片は披針形〜狭披針形で非常に鋭頭、長さ5〜6mm、付属体は小さく、四角形で全縁、稀に円い鋸歯がある。
     果実(刮ハ)は披針形で鋭頭、淡緑色〜緑色、長さ9〜11mm。

  • 分布・生育地 :
     本州(関東地方)、九州(大分、鹿児島) (国外:朝鮮、中国(東北部)、ロシア(極東地方)
     低湿地の葦原や湿った草地、河畔林

  • 花期 :  5〜6月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 1994年5月21日  茨城県水海道市
     中・全体2 1996年6月8日  栃木県足利市
     (上、中は拡大写真あり、写真をクリック)
     左下・花 1994年5月21日  茨城県水海道市
     右下・葉    同  上

  • 撮影記 :
     河川沿いのアシ原や湿った草地に生え、細長い葉で、花後1m近くに伸びる茎は、とてもスミレとは思えない。
     関東地方と九州の一部だけに残る珍しいスミレで、関東でも一部の河川沿いにしか見られない。
     葦の間に生えているため探しにくく、花つきもよくないうえに花も小さいので、見つけるには苦労した。

  • 葉

    同じ科の仲間の花
タチスミレ2

花