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- 科名・属名 : トベラ科 トベラ属
- 特徴 :
高さ1〜5mの常緑低木。
枝は下部からよく分枝し、幹は径10〜20cm、若枝は淡緑色で微毛が散生し、前年枝は灰緑色で、円い皮目がある。
葉は互生、枝の上部に集まってつきしばしば輪生状になり、葉身は披針形〜長楕円状披針形、長さ5〜10cm。先はやや尖るか円く、基部は鋭形、中央部付近が幅が広い傾向があり、縁は裏側にあまり巻かない。質は草質でやや薄くてトベラより軟らかい傾向があり、若葉も含め両面ほぼ無毛。
花は雌雄異株、今年枝の先に散房状の集散花序を出し、やや垂れ下がって疎らにつくことが多い。花序柄は長く伸び、無毛かわずかに毛がある。花弁は5個で離生し、最初乳白色で後に黄色となって芳香があり、倒披針状線形〜広線形で先は円く、長さ8〜13mm、基部で合着してやや筒状となり、上部は開出し反り返る。雄花は雄しべが長さ6〜8mm、花糸は無毛、葯は長卵形で長さ約2.5mm、雌しべは雄しべとほぼ同長で不稔。雌花は雌しべの長さが6〜8mm、子房は狭卵形〜楕円形、軟毛が密生し、花柱は長さ約2〜3mm、柱頭は3裂し、雄しべは短く退化する。萼は5個が離生し、裂片は卵形〜三角形、先は鋭形で基部は合着し、長さ約3mm。
果実(刮ハ)は円形、径1〜2cmで、10月〜1月頃、黄緑色から黒褐色に熟して3裂し、粘る赤橙色の種子を出す。種子は腎形、長さ5〜7mm。
- 分布・生育地 :
九州(奄美大島以南)〜沖縄 (国外:中国(南部)、台湾) 海岸林、山地林内
- 花期 : 3〜4月
- 撮影月日・場所 :
上・全体1 2019年4月2日 沖縄県名護市 中上・全体2 2017年4月10日 沖縄県南城市 (上、中1は拡大写真あり、写真をクリック) 中2・花序1 2019年4月2日 沖縄県名護市 中3・花序2 2008年3月4日 沖縄県西表島 中4・花 2019年4月2日 沖縄県名護市 中5・果実 2012年11月27日 沖縄県西表島 左下・全体3 1995年4月23日 鹿児島県奄美大島(左下は拡大写真あり、写真をクリック) 右上・葉(輪生状) 2014年3月20日 沖縄県南城市 右下・葉 2019年4月2日 沖縄県名護市
- 撮影記 :
琉球列島の海岸林や時に山中にも生える常緑の低木で、春先に訪れるとよく見かける花である。
小笠原諸島に分布するシロトベラの変種とされているが、トベラと同一種として分けない見解もある。
トベラとは、葉が薄くてやや細く中央部付近が最も幅広い、縁があまり裏に巻かないこと、花序の柄が長く伸び、やや垂れ下がって咲くことが多いなどの違いがあるとされ、ここでは奄美大島以南のトベラは本種との見解に従った。
ただ、沿岸部には左下の花のように葉が裏に巻くタイプも見られ、特徴の記述の参考にした「琉球の樹木」(大川智史、林将之著)(文一総合出版刊)でも、更に研究が必要と記されている。


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