ヤクシマアオイ(屋久島葵)

Heterotropa yakusimensis


ヤクシマアオイ1

  • 科名・属名 : ウマノスズクサ科 カンアオイ属
     注.APG分類では、学名(Asarum yakusimense)

  • 特徴 :
     葉は広卵形、長さ7〜15cm、幅7〜12cmの多年草。
     葉の先端は鋭頭〜鈍頭、基部は心形。表面は光沢のある明るい緑色、普通白斑は入らず、中肋にわずかに毛があり、裏面は無毛。葉柄も無毛。
     花は大きくて暗紫色か帯黄色を帯び、萼筒は短筒形、長さ13〜15mm、径12〜15mm、上部はほとんど括れない。萼筒入口には口環があり、その周りに隆起した白い板状の突起がある。
     萼裂片は平開し、卵状三角形で長さ10〜15mm、帯黄色の表面に黒紫色の短毛があり、先は強く反りかえる。萼筒内壁には格子状の襞がある。雄しべは12個、花柱は6個。
     別名 オニカンアオイ

  • 分布・生育地 :
     九州(屋久島) (国外:日本固有)
     高地の花崗岩地

  • 花期 :   3〜4月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2017年4月20日  鹿児島県屋久島
     中上・全体2、以下全て    同  上
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)

  • 撮影記 :
     このカンアオイに初めて出会ったのは、屋久島に行き始めてすぐの頃、標高3〜400m程度の沢沿いの急斜面で葉を広げていた。
     花期は3〜4月頃と聞き、その時期に3度挑戦したが、花をつけている株は見つけられず、年々株が少なくなっているような気がしてここでの花の撮影はあきらめた。
     その後、高地の花崗岩地にあるこの花の情報を得、そこまで行き着けるかどうか心配だったが、チャレンジすることにした。
     話しに聞いていた通り登山道は急登の連続、この花見たさにただひたすら登る。
     5時間近く登り、やっと葉を見つけ辺りを探すと、何株か花をつけた株を見つけた。長年の夢がやっと叶った。
     ただ、残念なことにこの年は1花しかつけない株ばかりで、いくつも花をつけた株を期待していただけに少し残念だった。
     オニカンアオイの別名があるように大きな花をつけるが、カンアオイ類に詳しい花仲間によると、標高の低い花崗岩地にある花と高地の花は違い、オニカンアオイと呼ばれるのは花の大きい高地のもので、比較的低地の花崗岩地で見られる花と本種は別物で、分けるべきではないかと言っている。

  • 葉

    同じ科の仲間の花
ヤクシマアオイ2

花1

花2

萼裂片の毛