ツタウルシ(蔦漆)

Rhus ambigus


ツタウルシ1


  • 科名・属名 : ウルシ科 ウルシ属
     注.APG分類では、ウルシ属の学名は(Toxicodendoron)、本種の学名(T. orientale subsp. orientale)

  • 特徴 :
     つる性の落葉藤本。
     蔓は気根を出して樹幹を這い登り、若枝には初め褐色の毛が密生するが後無毛となり、赤褐色の小さい皮目が多数できる。本年枝は径2〜5mm。
     葉は互生し3出複葉、葉柄は長さ3〜10cm。小葉の葉身は卵状楕円形〜卵形、頂小葉で長さ5〜15cm、幅3〜9cm。先は短く尖り、基部は鋭形〜円形、縁は全縁。表面は無毛、裏面は側脈基部に褐色の軟毛が密生する。葉柄は長さ1〜2cm。側小葉は長さ5〜12cm、幅3.5〜7cm。先は短く尖り、基部は左右不相称。葉柄は長さ2〜4mm。成葉では全縁であるが、幼木の葉には粗い鋸歯がある。
     花は雌雄異株で、葉腋から総状花序を伸ばし、小さな花を多数つける。花弁は5個、黄緑色、楕円形で長さ2.5〜3mm、先は反り返る。萼片は5個、楕円形で先は円く、長さ1〜1.5mm。雄花の雄しべは5個、雌花では5個の退化雄しべと1個の雌しべがあり、花柱は3裂する。
     果実(核果)は扁球形、径5〜6mm、縦の筋があり、表面に短い刺毛が散生する。秋に黄褐色に熟し、外果皮が剥がれ、白いロウ質の中果皮が露出する。核は黄褐色で扁球形。

  • 分布・生育地 :
     北海道〜九州 (国外:韓国(済州島・鬱陵島)、サハリン)
     山地の落葉樹林内

  • 花期 :  5〜6月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2018年5月4日  茨城県那珂市
     中上・全体2 2016年7月12日  長野県諏訪郡
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)
     中中・花序(雄) 2018年5月4日  茨城県那珂市
     中下・花 2016年7月12日  長野県諏訪郡
     左下・果実(核果・未熟)    同  上
     右下・葉 2018年5月4日  茨城県那珂市

  • 撮影記 :
     この仲間の中で葉が3小葉というのは本種だけ、しかもつる性というのもこの種だけなのですぐにわかるので、触ったりすることは避けたほうがいい。
     というのも、この葉にはラッコールという漆成分を含んでいて、触ると強いかぶれを生じさせるので気をつけた方がいい。肌の弱い人は触らなくとも側に近寄るだけでかぶれるという話も聞いたことがある。
     この写真も触れないように細心の注意を払って撮影した。

  • 葉

    同じ科の仲間の花
ツタウルシ2

雄花序

花

果実(核果・未熟)