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- 科名・属名 : ヤマトグサ科 ヤマトグサ属
注.APG分類では、アカネ科(RUBIACEAE)、ヤマトグサ属、属名以下学名変わらず
- 特徴 :
草丈10〜30cmの多年草。
地下茎は短く、多くのひげ根を出す。
茎は円柱状、短毛が1列になって生えるか無毛、下部で疎らに分枝する。
葉は下部では対生し上部では互生、葉身は卵形〜狭卵形、長さ1〜3cm、幅5〜20mm。先は鋭頭、基部は広いくさび形〜くさび形、縁は全縁、まばらに短毛がある。葉柄は長さ5〜10mm。托葉は三角形〜卵形で膜質、基部は少し合着し、長さ2〜3mm。
花は雌雄同株で、茎の上部にある苞状葉に対生し、淡緑色。雄花は節ごとに1〜2個つき、蕾は短い筒状、3個の外花被片は開くと狭長楕円形で、長さ8〜10mm、10本の細い脈があり、反り返る。雄しべは20〜25個あって長い花糸が垂れ下がり、葯は線形で長さ4〜5mm。雌花は緑色で非常に小さく、1〜3個が同じ節や異なる節につき、無柄で、基部に1個の小苞がある。外花披は筒形で子房を包み、外面に粗い毛があり、先が3〜4裂し、湾曲した花柱が突き出る。子房は受精すると大きく膨れ、外花披と花柱を横に押しのける。
果実(痩果)狭倒卵形で、長さ3〜3.5mm。
- 分布・生育地 :
本州(関東地方以西)〜九州 (国外:日本固有) 山地の林下
- 花期 : 4〜5月月
- 撮影月日・場所 :
上・全体1 2002年4月28日 大阪府金剛山 中1・全体2 2023年4月29日 神奈川県秦野市 (上、中1は拡大写真あり、写真をクリック) 中2・雄花、雌花 同 上 中3・雄花 1995年5月28日 茨城県筑波山 中4・雌花 2023年4月29日 神奈川県秦野市 左下・蕾 2022年5月8日 神奈川県南足柄市 右上・下部の葉 2023年4月29日 神奈川県秦野市 右下・上部の葉 同 上
- 撮影記 :
花といっても茎から短い糸くずのようなものがぶら下がり、その先に白っぽい葯がついている。
この葯が風に吹かれて飛び散り、受粉するという風媒花である。
ただ、目立つのは長い雄しべを持つ雄花で、小さくて目立たない雌花は初めてこの花に出会ってから30年近くたってやっと撮影することができた。
パッとした花ではないが、植物の世界では忘れることができない牧野富太郎先生が、明治20年に初めて学名をつけた植物として知られている。
そう思って見るせいか、いつ出会っても何となく厳粛な気持ちにさせられる花だ。
なお、ヤマトグサ科という独立した科に入れられていたが、APG分類ではアカネ科の1属とされた。
注.《1科1属1花のため仲間の花なし》としていたが、現在の分類では同じ科の仲間の花
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