- 科名・属名 ： ヤナギ科 ヤナギ属
- 特徴 ：
高さ１〜２ｍの落葉低木。
枝はやや水平に出て、先端は垂れ下がるものも多い。樹皮は灰黒褐色で、普通隆起条はない。若枝は黄褐色〜灰褐色で細い。
葉は互生、成葉では狭卵形〜卵形〜長楕円形、長さ４〜１０ｃｍ、幅１〜４ｃｍ。先は鋭尖頭でしばしば尾状に伸び、基部は鋭形〜鈍形、縁には先端部を除き普通鋭鋸歯がある。表面は鮮緑色で滑らか、裏面は粉白色〜帯白淡緑色、両面無毛。新葉の縁は巻かない。葉柄は長さ５〜１０ｍｍ。托葉は左右不相称の線状〜狭卵形、長さ４〜１０ｍｍと小さい。
花は雌雄異株で、葉の展開と同時に開花し、細長くて先端が次第に細まり、やや疎らに花をつけ、中軸は有毛。柄は短く、小型の葉を２〜４個つける。雄花序は長さ３〜９ｍｍ、径５〜８ｍｍ。苞は淡黄色、楕円形〜広楕円形で鈍頭、短毛を散生し、長さ１．５〜２ｍｍ。雄花は長さ２〜３ｍｍ、腺体は１個で黄色、やや肥厚し円形〜広円形、長さ幅とも０．４ｍｍ。雄しべは２個、花糸は長さ２〜３ｍｍ、基部に少数の毛がある。葯は黄色。
雌花序は長さ約４ｃｍ、径５ｍｍ。苞は淡黄緑色で、形は雄花と同じかやや狭卵状長楕円形。雌花は長さ３〜３．５ｍｍ。腺体は雄花と同じ。子房は狭卵形で無毛、長さ１．５〜２ｍｍ、有柄で先端は次第に細くなり花柱に移行する。柱頭は淡黄緑色で短く、凹頭〜２浅裂する。
果実（刮ﾊ）は５月に熟して裂開し、白い綿毛に包まれた小さな種子（柳絮）を多数出し、風で運ばれる。 - 分布・生育地 ：
本州（関東地方南部〜東海地方（愛知県まで） （国外：日本固有）
低山の乾燥した崖地や斜面、岩場 - 花期 ： ３〜４月
- 撮影月日・場所 ：
上・全体１(雌株１) 2021年4月8日 東京都稲城市
中上・全体２(雌株２)〜中下・雌花断面） 同 上
(上、中上は拡大写真あり、写真をクリック）
左下・果実(刮ﾊ) 2024年5月6日 東京都奥多摩
右上・葉(表) 2021年4月8日 東京都稲城市
右中・葉(裏) 2024年5月6日 東京都奥多摩
右下・幹 2021年4月8日 東京都稲城市 - 撮影記 ：
ヤナギというと水辺に生えるイメージが強く、実際に多くの柳が水辺や河原に生えているが、本種は乾いた崖や岩場で見られる。
分布も関東地方(南部）〜東海地方（愛知県）と狭く、花期も比較的早いので開花を見逃していることが多い。
花（雌株）の写真は多摩丘陵の崖地に咲いていたもので、４月初めに見たにもかかわらず、もう花期的には遅めだった。
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