コケハリガネスゲ(苔針金菅)

Carex koyaensis var. yakushimensis


コケハリガネスゲ1

  • 科名・属名 :
     カヤツリグサ科 スゲ属(ハリスゲ節)

  • 特徴 :
     草丈2〜7cmの多年草。
     有花茎は葉より長く、径0.2〜0.3mm。鈍稜があり平滑。
     葉は幅0.5mm以下と細く、時々内巻する。基部の葉鞘は淡褐色。
     茎頂に雄雌性の小穂を1個つけ、小穂は広長楕円形、長さ3〜4mm、幅約3mm。
     雄花は2〜3個、雌花は2〜5個。雄鱗片は卵形〜長楕円形、長さ1.5〜2mm、中肋は緑色〜淡褐色、両側は茶褐色。雌鱗片は広卵形で先は丸く、長さ1.2〜1.5mm、果胞の1/2〜2/3の長さ。中肋は緑色〜淡褐色、両側は茶褐色。
     果胞は長楕円形〜円形、長さ約2mm、幅約1.2mm。熟すると開出し、はっきりした数脈があり、無毛。痩果は緩やかに果胞に包まれ、嘴は細長く、柱頭は3岐。

  • 分布・生育地 :
     九州(屋久島) (国外:日本固有)
     高地の湿地

  • 果(花)期 :   5〜6月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体 2017年5月18日  鹿児島県屋久島
     中上・全体2、以下全て    同  上
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)

  • 撮影記 :
     初夏の花の撮影に登った屋久島の奥山、厳しい登りも固有種の撮影で休憩しながら、やっと高所の湿原までたどり着いた。
     時期は少し早めだったが、湿原にはまた違った固有種やごく小さなスゲが生えていた。
     多くの固有種の観察と撮影で時間を大きく費し、登山だけなら最高点まで登ってこられる時間まで山に留まった。
     このスゲ、帰って調べると、旧版の「日本の野生植物T」(平凡社)には出ていなかったが、改訂版の1巻にこの花が載せられていた。
     2000年代になって発表された種で、名前はハリガネスゲとついているが、コウヤハリスゲに近い種のようだが、有花茎が短いこと、葉がきわめて細いこと、果胞が小さいことで区別されるようだ。

  • 同じ科の仲間の花
コケハリガネスゲ2

小穂1(側面)

小穂2(上から)