コタヌキラン(小狸蘭)

Carex doenitzii


コタヌキラン1


  • 科名・属名 :
     カヤツリグサ科 スゲ属(タヌキラン節)

  • 特徴 :
     草丈30〜60cmの多年草。
     根茎は短く叢生する。基部の鞘は葉身がなく赤褐色〜濃血赤色で光沢があり、硬くて糸網がある。
     葉は線形、幅2〜5mm。質は柔らかく、平滑で裏面は粉白色を帯びる。
     小穂は2〜4個つき、上の1〜2個は雄性で太い線形、長さ1〜2cm。側小穂は1〜3個つき、雌性で長楕円形、長さ1.5〜3cm、幅約7mm。有柄で、下方のものは垂れ下がり、上方のものは葉身が短く、下方のものは小穂より長い。
     雌鱗片は披針形で赤褐色〜濃血赤色、先は尖って時に長い芒になり、果胞より長くなる。果胞は狭卵形でやや扁平、長さ4〜6mm、幅1〜1.5mm、脈は目立たず、全面に小さな刺を散生、嘴は細くて長く、口部は針状に2深裂し、裂片は長さ1〜2mm。  果実は長さ約2mm、花柱は長さ6〜8mm、果時にも残り、柱頭は2裂する。柄は長さ6〜7mm。

  • 分布・生育地 :
     北海道(南西部)、本州(近畿地方以北)、九州(屋久島) (国外:日本固有)
     山地のブナ帯〜高山帯の乾いた岩上、草地、特に火山荒原に多い

  • 果期 :5〜7月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 202年7月26日  静岡県富士山
     中上・全体2、以下全て    同  上
     (上、中上、中中は拡大写真あり、写真をクリック)

  • 撮影記 :
     江戸時代に噴火した富士山宝永火口、火口に立つとその大きさに圧倒させられる。
     300年経ったとはいえ火口周辺はまだ火山礫に覆われ植物は少ない。
     そんな火山荒原に逸早く進出し、円い塊状になったこの花が礫地の上に点々と緑を見せている。
     ただ、むき出しの荒れ地は厳しい環境のせいか痛んでいる株が多い。
     近くの樹林下にもこの花は進出していて、そこの株は美しい草姿を見せてくれる。

  • 雌鱗片(左)・果胞(右)

    果胞(左)・果実(右)

    基部の鞘

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コタヌキラン2(群生)

コタヌキラン3

雄・雌小穂

雌小穂