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- 科名・属名 : ラン科 エビネ属
- 特徴 :
草丈30〜50cmの多年草。
地下に球茎が球状に連なる。
葉は2〜3個が根生し、葉身は長楕円形、長さ15〜40cm、幅4〜10cm。先は鋭頭で裏面に短毛があり、縦皺が多く、基部は細く、はっきりした葉柄になる。
花は茎頂に総状花序となり、5〜20花をつける。花茎には1〜2個の鱗片葉があり、短毛が生える。ほうは披針形で膜質、長さ5〜10mm。花色は変化に富むが、普通、萼片と側花弁は暗褐色に緑色が混じり、萼片は狭卵形で鋭頭、長さ15〜20mm、側花弁は萼片よりやや狭く、同長。唇弁は白〜淡紅色、扇形で先は3深裂し、長さは萼片とほぼ同長、側裂片は広いくさび形、斜上し、全縁、中央裂片はくさび形で2裂し、3本の隆起線がある。距は長さ5〜10mm、外面に短毛がある。
果実(刮ハ)は紡錘形で下垂する。
萼片と側花弁の色の違いでいくつかの品種があり、
萼片と側花弁が赤褐色で、唇弁の白色に赤色が入るものを、
●アカエビネ(f. rosea)(中2、花中4)という。
萼片と側花弁が緑白色のものを、
●ヤブエビネ(f. viridialba)(中3、花左下)という。
萼片と側花弁が黄褐色で、唇弁が白色のものを、
●ダイダイエビネ(f. rufoaurantiaca)(花右上)という。
- 分布・生育地 :
北海道(西南部)〜九州 (国外:朝鮮、中国(東〜南部) 暖帯林の林下
- 花期 : 4〜5月
- 撮影月日・場所 :
上・全体1 1978年5月14日 神奈川県津久井郡 中1・全体2(アカ) 1978年5月5日 同 上 中2・全体3(ヤブ) 1979年5月13日 千葉県山武郡 (上、中1、中2は拡大写真あり、写真をクリック) 中3・花1 1978年5月5日 神奈川県津久井郡 中4・花2(アカ) 同 上 左下・花3(ヤブ) 1979年5月13日 千葉県山武郡 右上・花4(ダイダイ) 1979年5月5日 神奈川県津久井郡 右下・葉 2001年5月13日 東京都伊豆諸島
- 撮影記 :
株ごとに花色に違いが出ることから一時大ブームになり、多くの山から自生のエビネが消えてしまった。
冬でも常緑の大きな葉があるため目立ち、探すのも容易なことから、この時期によく探しに歩いた。
今でも、時々貧弱な株には出会うものの、この写真を写した昭和50年代半ばの関東近郊の低山では、色違いも含めあちこちに小群落があり、花色を確認しながら撮り歩き、時間の経つのを忘れる程だった。
30数年後、久しぶりに現地を訪れてみたら、跡形もなく荒れ果てていて、1枚の葉も見つけられなかった。
和名は地下の球茎が連なってつく様子を、エビ(海老)の身体に例えてつけられた。
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