ヒメフタバラン(姫双葉蘭)

Listera japonica


ヒメフタバラン1

  • 科名・属名 : ラン科 フタバラン属
     注.APG分類では、サカネラン属(Neottia)

  • 特徴 :
     草丈5〜30cmの多年草。
     茎は直立し、四角形。
     葉は対生状に2個つき、葉身は卵形三角形、長さ、幅とも1〜2cm。先はやや鋭頭、基部は切形か浅心形。鱗片葉はない。
     花は茎頂に2〜6個がやや疎らにつき、淡紫褐色。萼片は狭卵形で鈍頭、側花弁は線状長楕円形で鈍頭、ともに反曲し、長さ2〜3mm。唇弁は長さ6〜8mm、広線形の2裂片を斜め前方に突出し逆Y字形になり、裂片は線状長楕円形で長さ3〜5mm。中部に汚黄色のT字状の隆起がある。基部の耳状裂片は後ろに反転し、蕊柱を両側から囲む。
     果実(刮ハ)は卵形、長さ5〜7mm、1cm程度の柄がある。
     また、葉に斑が入るものがあり、
     フイリヒメフタバラン(f. albostriata)(右下の写真)という。
     花が緑色のものを、
     ミドリヒメヒタバラン(f. viridis)(左下の写真)という。

  • 分布・生育地 :
     本州(宮城以南)〜沖縄  (国外:韓国(済州島)、台湾)
     暖温帯の樹林下

  • 花期 :   3〜5月(沖縄では12〜2月)

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2009年4月21日  福島県双葉郡
     中1・全体2 1986年3月30日  千葉県安房郡
     (上、中1は拡大写真あり、写真をクリック)
     中2・花序 1993年3月13日    同  上
     中3・花 2014年4月21日  高知県高知市
     中4・果実 2018年3月10日  鹿児島県奄美大島
     左下・ミドリフタバ 2004年1月26日  沖縄県石垣島
     右上・葉 2014年4月21日  高知県高知市
     右下・フイリフタバ 1993年3月13日  千葉県安房郡

  • 撮影記 :
     フタバラン属は、和名の「双葉」のとおり根元に2枚の葉が対生するのが特徴で、日本には5種知られているが、いずれも北方系の分布になっている。
     この花は他の4種と異なり唯一南方系で、南の島では12月〜2月頃咲くが、千葉県では3月に咲き、私が一番北で見かけた福島県では4月末に咲いていた。
     同じ花がこんなに離れた地域に分布しているのを見ると、どんな変遷があって分布が広がったのだろうか感慨もひとしおだ。
     花色は色々変化があるが、南方に咲く花は花が緑色の個体(ミドリヒメフタバラン)が多く、本州は紫褐色の花が多いように思われる。

  • 葉

    huirihimehuta

    同じ科の仲間の花
ヒメフタバラン2

花序

花

果実

ミドリヒメフタバラン