ムカゴサイシン(零余子細辛)

Nervilia nipponica


ムカゴサイシン1


  • 科名・属名 : ラン科 ムカゴサイシン属

  • 特徴 :
     草丈3〜10cmの多年草。
     地下に小さな球(球茎)があり、そこから花茎を出す。
     葉は花が終わってから生じ、葉身は角ばった心円形、長さ、幅とも3〜5cm。質はやや厚く、7〜9本の掌状脈と縦皺がある。
     花は茎頂に1個つき、横向きに咲き、汚紅紫色で、平開することはなくせずほとんど閉じた状態。花茎は帯紫色、疎らに2〜3個の鞘状葉がある。苞は倒披針形、薄膜質、長さ約5mm。背萼片、側萼片とも披針形、長さ約10mm、淡緑色に紫色の斑紋が入る。側花弁もほぼ同形、長さは萼片より少し短く、白色で紫色の斑紋が入り、先端部に乳頭状突起がある。唇弁は白色、細長く中ほどで括れたような形で3裂し、長さ約10mm、側裂片は極めて小さく、中央裂片は楕円形、内面に紫色の斑紋が入り、根棒状の毛の束がある。蕊柱は長さ約5mm。

  • 分布・生育地 :
     本州(関東地方以西)〜沖縄 (国外:韓国(済州島))
     暖温帯の常緑林下

  • 花期 :  4〜7月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 1994年6月18日  千葉県清澄山
     中1・全体2 2023年5月25日  東京都八王子市
     中2・全体3    同  上
     中3・全体4 1994年6月18日  千葉県清澄山
     (上、中1〜3は拡大写真あり、写真をクリック)
     中4・花 2023年5月25日  東京都八王子市
     左下・蕾 1994年6月18日  千葉県清澄山
     右上・葉1 1993年8月22日    同  上
     右中・葉2 2022年8月15日  東京都八王子市
     右下・葉(裏)    同  上

  • 撮影記 :
     この属は日本で何種類知られているが、いずれも花期には葉がなく、花が終わってから葉が出てくるという特徴がある。
     特にこの花は、茎も花も淡褐色で地面の色と同じ保護色となり、花期に見つけることはかなり大変である。
     千葉県で撮影したこの写真も、やはり前年葉の状態で見つけ、場所を確認しておいたものだ。
     翌年6月、訪れた暗い植林下、目線を低くし凝らすように見てやっと花を見つけた。
     あまり平開しない花は、特別美しい訳でもなく花好きでなければ見向きもしない。
       撮影のため身体を低くしていると、ヤマビルがあちこちから尺取虫のように這い集まってきて、中には三脚まで這い上がってくるものもあり、備えはしてきたものの閉口した。
     和名は、地下の球茎をむかごに、葉をカンアオイの仲間のサイシンに例えている。

  • 葉1

    葉2

    葉(裏)

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ムカゴサイシン2

ムカゴサイシン2

ムカゴサイシン2

花

蕾