ナツエビネ(夏海老根)

Calanthe reflexa


ナツエビネ1

  • 科名・属名 : ラン科 エビネ属
     注.APG分類では、学名(C. puberula)

  • 特徴 :
     草丈20〜40cmの多年草。
     球茎は球状で数個連なる。
     葉は3〜5個束生し、狭長楕円形、長さ10〜30cm、幅3〜6cm。鋭尖頭で、表面は光沢がなく、白みを帯びた緑色で縦ジワが多い。葉柄部ははっきりしない。
     花は花茎の上部に、淡紫色の花をやや疎らな総状に、10〜20個つける。花柄の上部は短毛が生え、開花前は頂部がうなだれる。苞は披針形、緑色で長さ10〜20mm、鋭尖頭。萼片は長さ15〜20mm、背萼片は狭卵形、背萼片は斜卵形、ともに鋭尖頭で反曲する。側花弁は横に広がり線形で鋭尖頭、長さ12〜15mm、幅約2mm。唇弁は心状広卵形で隆起線はなく、長さ約15mm、幅約10mm、3深裂し、中裂片はやや大きく、くさび状広楕円形で縁は縮れ、先端は突出する。距はなく、蕊柱は唇弁と直角に立つ。
     果実(刮ハ)は紡錘形。

  • 分布・生育地 :
     本州〜九州 (国外:朝鮮(南部)、中国(東部〜ヒマラヤ)、台湾)
     冷温帯〜暖温帯の林下

  • 花期 :   7〜9月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2020年8月21日  千葉県鴨川市
     中上・全体2 1993年8月22日  千葉県安房郡
     中中・全体3 2010年7月25日  京都府丹後半島
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)
     中下・花序 2020年8月21日  千葉県鴨川市
     左下・花、以下全て    同  上

  • 撮影記 :
     エビネ類は多くの種類があるが、本土産では珍しく夏に咲く。
     真夏のやや湿った広葉樹林下は暗く、マムシがでそうな雰囲気であるが、木漏れ日のスポットライトを浴びた淡紫色の花は美しい。
     それ故盗掘されることが多く、この写真を撮った千葉県もかってはこの花が多かったが、最近ではあまり見かけなくなってしまった。
     エビネに限らず美しい山野草は盗掘されることが多いが、家庭ではそのうち枯らしてしまい、長く持たないことをわかってほしいものだ。

  • 果実(刮ハ)

    葉

    同じ科の仲間の花
ナツエビネ2

ナツエビネ3

花序

花