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- 科名・属名 : ラン科 サガリラン属
- 特徴 :
草丈20〜40cm(図鑑では5〜20cmとあるが)の多年草。着生。
茎は分枝せず、長い気根があってしばしば垂れ下がり、先は上を向く。
葉は常緑、2列に互生し、数個〜十数個つけ、葉身は長楕円形〜披心形、長さ5〜7cm、幅1〜2cm。革質で暗緑色、無毛。
花は腋生して垂れ下がって総状となり、疎らに径約1.5cmの花を数個つける。花茎は長さ3〜8cm。萼片と側花弁は倒披針形〜倒卵形、淡黄色で縁が紫色を帯び、背面が竜骨状に隆起し、長さ約7mm。唇弁は淡紅紫色、基部はボート状で、中央に白い肉質隆起があり、先は細くなり、先端はさらに2裂する。距はない。蕊柱は直立し、短い。花粉塊は大小2個が1対の計4個あって、蝋質。
- 分布・生育地 :
九州(奄美大島) (国外:中国(南部)、台湾、東南アジア〜インド) 山地の川沿いの岩や木に着生
- 花期 : 7月
- 撮影月日・場所 :
上・全体1 2023年7月18日 鹿児島県奄美大島 中1・全体2、以下全て 同 上 (上、中1、中2は拡大写真あり、写真をクリック)
- 撮影記 :
真夏の猛暑の中、谷を詰め、道無き林下を歩きやっとたどり着いた山奥の沢、一息入れて対岸を見ると大木からこのランが長い気根で垂れ下がり花を咲かせているのが目に入った。
近寄ってみると花は満開の素晴らしい状態、途中熱中症になりかけながらも苦労してやってきたかいがあった。
以前から日本では奄美大島だけということは知っていたが、地元の花仲間から「ハブが多くて案内できない」と言われ、見ることが叶わないうちに花仲間が亡くなってしまった。
もう見るのは難しいと思っていたが、ある情報を手に入り昔からの花仲間と2人で探しに出かけた。
ハブが多いと聞いていたが、夏の暑い時期は沢沿いの涼しい場所にいるのだろうと思い、尾根筋なら安心だろうと歩いていると、先行した花仲間が「ハブがいる」と大声を出して立ち止まった。
なんと、尾根の小さな窪地にとぐろを巻いたホンハブがいた。しかもかなり大きい、そっと迂回して進んだ。「やはり出たか」と思ったがそれで終わらなかった。
撮影した帰り、急な谷を喘ぎながら登り返して尾根に出、風の通る場所で一服と腰を下し水を取り出そうと横においたリュックに手を伸ばすと、なんと1mも離れていない場所に大きなハブがこっちをにらんでいた。びっくりして静かにその場を離れた。
この時期、ハブも暑さを避けるため涼しい所にいるのは理解できるが、水辺ではなくこんな尾根筋にいるとは。人が一息入れたくなるような風通しのいい場所がハブもお気に入りのようで、昼間は1日中じっとしているのではないかと思った。事実、行きに見かけたハブは数時間後の帰りにも同じ場所でとぐろを巻いていた。
やっとのことで車まで戻りついたが、希少なランに出会えた喜びと同じくらいハブとの3度の出会いも衝撃的だった。
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