ウミショウブ(海菖蒲)Enhalus acoroides |
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長さ50〜150cmの多年草。 根茎は径約1.5cmと太く、砂の中を横に這い、径3〜5mmの太いひげ根を多数出す。 葉はリボン状で長さ50〜150cm、幅1〜2cm。両方の縁に硬い脈があり、葉が腐った後も針金状の繊維として残る。 雌雄異株で、雄花の苞鞘は葉腋から出る長さ5〜10cmの柄の先につき、中に雄花が数十個入り、開花時には海面に切れて雄花が浮き上がる。雄花は長さ約2mm、花被片は6個で白色、水面に浮かんだときには反り返る。 雌花の苞鞘の柄は水深に応じて長さが変わって海面まで伸び、中に雌花が1個ある。雌花の花被片は3個、リボン状白色で長さ4〜5cm、幅3〜4mm。柔らかく波形のシワがある。萼片は3個、帯赤色で反り返る。 夏の大潮の日を中心に開花し、雄花が海面を流れ雌花の花柱に達して受粉する。 果実は広卵形で長さ5〜7cm、多数の緑色の刺で覆われている。 沖縄 入江の浅い海底の砂の上 2012年9月1日 沖縄県西表島 上は拡大写真あり(写真をクリック) 中・葉 同 上 下左・雄花、下右・雌花 同 上 海面を白い小さな泡状の塊が上げ潮に乗って流れている。砂浜には打ち寄せられた白い泡が層をなしている。泡のように見えるのは小さな雄花が集まったものだ。 夏の間の大潮の日を中心に開花し、雌雄異株の雄花が海面に浮き上がり、数少ない雌花と受粉するため潮や風に翻弄される姿は、見る者を惹きつける。 NHKの自然紹介番組で西表島のこの花の生態が紹介されたこともあり、人気が出てシーズンには開花を見るため大勢の人が訪れる。 人が多いのが嫌で、この花の花期である6〜7月の大潮の時期を避けいた。 8月末、別の花の撮影で訪れた時ちょうど大潮の時期で、もう花期ではないと思っていたこの花の開花を偶然目にすることができた。 小さな人形のような形をした多数の雄花が海面を漂い、砂浜に層となって打ち上げられている様は、確かに一見の価値があった。 同じ科の仲間の花 |
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