クロツグ(譏P)

Arenga engleri


クロツグ1


  • 科名・属名 : ヤシ科 クロツグ属
     注.APG分類では、学名(A. ryukyuensis)

  • 特徴 :
     高さ2〜5mの常緑小高木。
     地表近くから扇状に広がる樹形が特徴で、幹は葉柄が分解されれた黒い繊維で密に覆われる。
     葉は根生か幹生で、幹生のものの方が普通大きい。葉は羽状複生で20〜50対の小葉からなる。小葉は広線形、長さ25〜60cm、幅1.5〜3cm。先は鈍形、基部は耳状となり、内に折れて側面で葉軸につき、縁に疎らに不規則な鋸歯がある。質は革質、表面は緑色で光沢があり、裏面は中肋が隆起し、普通灰白色を帯びる。葉柄は長さ約1m。葉の先端部では小葉は次第に小さくなり、先は鈍円形に近くなる。
     花は雌雄同株で、雄花、雌花は別々の花序につく。花序は葉腋につき、大型の円錐状で長い柄があって下垂し、分枝して橙黄色の花を多数つける。雄花の花弁は長楕円形で、長さ1.5〜2cm、小さな萼片がある。葯は線形、長さ約4mm、花糸は長さ1mm未満と短い。雌花は普通球形、花弁は扁三角形、萼片は宿存し、花後7〜9mmと大きくなる。
     果実は球形、径2〜3cm、橙黄色で熟すと暗く赤色になる。

  • 分布・生育地 :
     九州(奄美大島以南)〜沖縄、(九州(南部)や小笠原諸島にも野生化) (国外:日本固有)
     低地〜山地(主に石灰岩地)の林内、水辺

  • 花期 :  3〜6月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2020年6月14日  沖縄県国頭郡
     中1・全体2(コミ型) 2011年5月23日  沖縄県西表島
     (上、中1は拡大写真あり、写真をクリック)
     中2・花序1 2020年6月14日  沖縄県国頭郡
     中3・花 2016年5月14日  沖縄県糸満市
     中4・花序2(コミ型) 2007年4月30日  沖縄県西表島
     左下・果実 2020年6月14日  沖縄県国頭郡
     右上・葉、右下・幹    同  上

  • 撮影記 :
     奄美大島以南の南西諸島に自生する植物であるが、八重山諸島に分布しているタイプ(中1、中4)は果実がやや小さく、東南アジアに分布しているコミノクロツグ(小実の譏P)とする考え方もあるようだ。ただ、最近の図鑑では同一種とされている。
     花や果実の時期はそれなりに目につくが、その時期以外では目立たず、気にすることがあまりない。
     現地では群生することはあまりなく、所々に点々と見られる。

  • 葉

    幹

    同じ科の仲間の花
クロツグ2(コミ型)

花序1

花

花序2(コミ型)

果実