はじめに





 高山植物との出会いに感動し、一眼レフを手に花を撮影しはじめたのは40年以上前のことです。
 冬の間は植物図鑑で花の名前を覚え、春になるとあちこち花を探しに出かけました。
 低山から高山へ、関東・中部から東北・北海道の山へ、段々足を伸ばすようになりました。

 その後、野山の花の写真図鑑が書店に並ぶようになって情報が増えるようになると、あの花もこの花も見たいと、北海道から沖縄まで日本全国へ出かけるようになりました。
 そしていつに間にか、趣味というより道楽の域(注.趣味=小遣いの範囲で時間とお金をかける、それを越えると道楽に)に入り込んでしまいました。

 今では、山野草や野生ランが園芸店の店頭で数多く売られ、栽培も盛んです。多くの花を栽培品や植栽品で見ることができます。
 ここでは、あくまで自然の姿(自生)にこだわり、探し当て・巡り会った花達の姿を、図鑑風に順次紹介していきます。

 近頃強く感じるのは、開発や乱獲、あるいは山野の荒廃により、かっての自生地が見る影もなくなっていることです。
 「昔はいっぱいあった」という地元の人の昔話ではなく、そこにいけば誰でも新しい出会いができる、そんな自然にしていきたいと願っています。

 日本の野山にはこんな花もあるんだということを、できるだけ多くの花を紹介するなかでお見せしていきたいと思います。