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- 科吊・属吊 : ヘゴ科 ヘゴ属
- 特徴 :
草丈5~10mの常緑性シダ。
幹は直立して伸び、太いものでは基部で20cmになる木生のシダで、表面には葉の落ちた跡が丸に逆八の字形に残る。
葉は3回羽状深裂~全裂で茎の先端に束生し、葉身は倒卵状長楕円形で鋭頭、長さ2~4m、幅1~1.5m。側羽片は14~18対、長楕円形で、長さ(37-)46~58(-61)cm、幅(6-)17~24(-28)cm。小羽片は長さ(1.7-)6.6~9.7(-10)cm、幅(0.5-)1.2~1.8(-2.2)cm、先は鈊頭~鋭頭、縁は全縁~微鋸歯縁。質は厚い紙質で黄緑色。裏面(背軸側)の軸上に白っぽい鱗片と開出毛が密に生える。
葉柄は最大で長さ20cm~1.3m、基部は膨らんで径5~7cm。葉柄基部の鱗片は密につき、披針形で白色~淡褐色、長さ(1.1-)1.7~2.8(-3.6)cm、幹との間に離層をつくる。
胞子嚢群は小羽片の中肋寄りに両側に2列つき、円形で茎(0.9-)1(-1.1)mm。包膜はない。
- 分布・生育地 :
九州(奄美大島以南)~沖縄 (国外:中国(南部)、台湾、フィリピン) 谷間、林中の斜面、湿った日当りのいい林縁や草地
- 撮影月日・場所 :
上・全体1 2007年3月17日 沖縄県石垣島 中1・全体2 1995年4月23日 鹿児島県奄美大島 中2・全体3 2018年1月15日 沖縄県国頭郡 (上、中1、中2は拡大写真あり、写真をクリック) 中3・葉(表) 2023年5月9日 同 上 中4・胞子嚢群 2014年1月22日 沖縄県国頭郡 左下・茎の葉痕 2012年9月2日 沖縄県西表島 右上・新芽1 2004年1月24日 沖縄県石垣島 右下・新芽2 2023年5月9日 鹿児島県奄美大島
- 撮影記 :
大きいものでは10m近くあるような木生のこのシダが林立している光景は、今にも木陰から恐竜が出てきそうな気にさせられる。
奄美大島以南の琉球列島に分布し、山道などを通るとこのシダが樹冠の上に高く突き出している光景をよく目にする。
ヘゴ科のシダは数種類あるが、ここまで幹を高く伸ばすのは、この種と小笠原諸島に知られるマルハチだけである。
マルハチとの違いは、分布地だけでなく、葉の背軸側(裏面)の軸上の鱗片が扁平で、小羽片の軸に毛のあることである。
ヒカゲ(日陰)の吊がついているが、暗い谷間にあるだけではなく、湿り気のある明るい林縁などにも多い。
その他のシダ
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