ヒメシダ(姫羊歯)

Thelypteris palustris


ヒメシダ

  • 科名・属名 : ヒメシダ科 ヒメシダ属

  • 特徴 :
     草丈40〜70cmの夏緑性シダ。
     根茎は長く匍匐し、やや短い間隔で葉をつける。
     葉はやや2形、2回羽状全裂〜中裂、葉身は長楕円状披針形〜披針形、長さ20〜35cm、幅8〜10cm。質は草質〜柔らかい紙質、黄緑色〜鮮緑色、軸上にわずかに毛がある。胞子嚢をつけない羽片は披針形、長さ2.4〜3.1cm、幅約1.5cm。短柄があり、縁は全縁かわずかに鋸歯縁。胞子嚢をつける羽片は線状披針形〜狭披針形、無柄で幅約1cm。葉柄は緑色で基部はわら色、栄養葉では長さ15〜20cm、胞子葉では長さ20〜35cmと栄養葉より長い。
     胞子嚢群は円形、裂片の中肋と辺縁の中間(主脈の両側に2列に並び)につき、径0.7〜0.9mm、成熟すると隣と相接して裏面を覆うように見える。包膜は円腎形、辺縁に毛があり、腺毛も混じる。表面にはちいさないぼ状突起が連なって網状になり、暗褐色。

  • 分布・生育地 :
     北海道〜九州 (国外:北半球の温帯域)
     日当たりのいい湿地

  • 撮影月日・場所 :
     2007年8月5日  長野県大町市
     (上は拡大写真あり、写真をクリック)
     中・胞子嚢群 2009年8月29日  福島県耶麻郡
     下・胞子嚢群拡大 2014年9月13日  熊本県阿蘇

  • 撮影記 :
     沖縄を除く日本全土に分布する普通種のシダで、日当たりのいい湿地に群生することが多く、上の写真のように休耕田の畦などでも見かける。
     葉はやや2形で、胞子葉は葉柄が栄養葉より長く、羽片裂片がやや幅が狭いので、柔らかい葉の質と相俟ってなよっとした感じがする。
     ここでは成熟した胞子嚢をつけたものをアップしたため、全体に連なって葉裏を覆っているように見えるが、未熟な時期では中肋と辺縁の中間に弱々しくついている。

  • その他のシダ
胞子嚢群

胞子嚢群アップ