ハンコクシダ(はんこく羊歯)

Diplazium pullingeri


ハンコクシダ1


  • 科名・属名 : イワデンダ科 ノコギリシダ属

  • 特徴 :
     草丈30〜60(-70)cmの常緑性シダ。
     根茎は短く、直立〜斜上し、葉を叢生する。
     葉は1回羽状複生、葉身は披針形〜長楕円形で先は鋭先頭、長さ(21-)27〜38(-49)cm、幅(7.9-)10〜13(-15)cm。頂羽片は不明瞭で、羽片の基部が中軸に流れ、下部羽片は短縮する。側羽片は(20-)22〜24(-25)対あり、長楕円状披針形〜線形でやや鎌状に曲がり、基部上側に耳片が発達し、長さ(1.5-)2.9〜4.4(-5.4)cm、幅0.7-)0.8〜1(1.4)cm。質は草質で緑色。
     葉柄は緑色で基部は褐色、長さ(10-)12〜18(-22)cm。鱗片は全体に疎らにつき、披針形で黄褐色、長さ(1-)1.3〜2.3(-3.2)mm。毛は半透明〜淡褐色の多細胞毛で、基部だけでなく中軸や羽軸にも密生する。
     胞子嚢群は線形で中肋近くから辺縁に向かって伸び、長さ(2.3-)4.9〜7.4(-8)mm。包膜は線形、半透明〜淡褐色の多細胞毛があり、ほぼ全縁。
     別名 ハンコックシダ

  • 分布・生育地 :
     九州(屋久島以南)〜沖縄 (国外:中国、台湾、ベトナム)
     山地のやや乾いた林下

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2007年6月10日  鹿児島県奄美大島
     中上・全体2    同  上
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)
     中下・葉(表) 2023年5月10日    同  上
     左下・胞子嚢群 2007年6月10日    同  上
     右下・葉柄基部 2023年5月10日    同  上

  • 撮影記 :
     奄美大島の木漏れ日差し込む林下を歩いていると、軸に毛を密生し叢生する葉をつけたシダが目に入った。
     本州では目にしたことのない形のシダで、林下に点々と株が見られた。
     目的の花は蕾でガッカリして戻る途中だったので、シダで埋め合わせをしようとしっかり撮影した。
     和名のハンコクはこのシダを発見したHancock(ハンコクorハンコック)にちなんで付けられたものである。

  • 葉柄基部

    その他のシダ
ハンコクシダ2

葉(表)

胞子嚢群