タニイヌワラビ(谷犬蕨)

Athyrium otophorum



  • 科名・属名 : イワデンダ科 メシダ属

  • 特徴 :
     草丈50〜90cmの常緑性シダ。
     根茎は斜上から直立し、葉を叢生する。
     葉身は2回羽状複生、三角状長楕円形〜卵状長楕円形で先は急に尖り、長さ(28-)31〜37(-47)cm、幅(14-)20〜24(-26)cm。側羽片は長楕円状披針形〜披針形で先は細長く伸び、長さ(10-)11〜15(-20)cm、幅(2.3-)2.8〜3.7(-4.7)cm。小羽片は長楕円状広披針形、長さ(0.4-)0.8〜1.2(-1.6)、幅(0.4-)0.5〜0.7cm。無柄で基部前側が鋭く耳状に尖り、鋭頭で先は刺状、ほぼ全縁〜鋸歯縁。羽軸と小羽軸の分岐点の表側に顕著な刺がある。質はやや硬い草質、若葉は白っぽく後に緑色になる。
     葉柄は長さ(20-)24〜31(-42)cm、淡紅紫色で基部は暗褐色。鱗片は線状披針形〜狭披針形、長さ6〜10mm、黒色〜黒褐色で特に基部には密につく。
     胞子嚢群は小羽片の中肋近くにつき、長楕円形〜わずかに鉤形、長さ(1.4-)2〜2.5(2.8)mm。包膜は長楕円形〜わずかに鉤形でほぼ全縁か不規則な突起縁。

  • 分布・生育地 :
     本州(山形県以南)〜九州 (国外:朝鮮、中国、インド(北西部)
     山地林下

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体 2013年7月20日  広島県
     (上は拡大写真あり、写真をクリック)
     下・胞子嚢群    同  上

  • 撮影記 :
     イヌワラビの仲間は夏緑性のものが多いが、わずかに常緑性のものがあり、その多くが西日本に分布している。
     その中で本種だけは東日本にも分布しているが、東日本ではあまり見たことがない。
     夏の中国山地にあるランを撮影に行ったが、この年季節の進みが速く、目的の花はほとんど終わりかけていた。
     残念な気持ちを救ってくれたのがシダで、このシダ以外にも初めてのシダに数多く出会えた。

  • その他のシダ
胞子嚢群