ツルホラゴケ(蔓洞苔)

Vandenboschia auriculata


ツルホラゴケ

  • 科名・属名 :
     コケシノブ科 ハイホラゴケ属

  • 特徴 :
     つる性で着生する常緑性シダ。
     根茎は長く匍匐し、背側に1〜5cm間隔で葉をつけ、腹側に根をつける。
     葉身は単羽状複生で線状披針形〜広披針形、長さ10〜30cm、幅1.5〜4cm。中軸には約0.8mmの幅の翼があり、羽片は胞子嚢群をつける葉ではほぼ全裂し、小羽片も全裂、つけない葉では中裂し、小羽片は波状縁。小羽片の先は円頭〜鋭頭、基部はくさび形、上側が耳形に張ることが多い。葉柄は0.8〜2cmで暗褐色の怪我あり、翼が基部まである。
     胞子嚢群は狭くなった裂片の先につき、包膜はコップ状、唇部はわずかに反転し、胞子嚢床は長く伸びる。

  • 分布・生育地 :
     本州(紀伊半島、島根、山口県、伊豆諸島)〜沖縄
     林内の樹幹、まれに岩上に着生

  • 撮影月日・場所 :
     2007年7月1日  鹿児島県屋久島
     下・胞子嚢 2007年8月25日    同  上

  • 撮影記 :
     シダというと、やや薄暗い林下に密生し、葉が三角状楕円形で細かく裂けたというイメージが強いが、もともと南方系の植物だけあって南に来ると変わった形のものも多い。
     樹幹の上に向かって巻きつくように張り付き、ふさふさした葉をつけたこのシダも関東辺りでは見かけないシダだ。
     裏を見ると、コケシノブ科に多い裂片の先に着いた長く伸びる胞子嚢床が、違いを更に感じさせる。
     それ以外にもオオタニワタリとか、下だけを見て植物を探している訳にいかないので、忙しいことこの上ない。

  • その他のシダ
胞子嚢群