ワラビツナギ(蕨繋)

Arthropteris palisotii


ワラビツナギ1


  • 科名・属名 : ナナバケシダ科 ワラビツナギ属

  • 特徴 :
     長さ20〜55cmの常緑性のシダ。
     根茎は針金状で、径(1.1-)1.4〜1.6(-1.9)mm、長く匍匐しツル状に這い上がり不規則に分枝、間隔を置いて葉をつける。根茎の鱗片はやや密につき、卵状披針形で圧着し、黒褐色。
     葉は1回羽状複生、葉身は披針形、長さ(20-)29〜41(-53)cm、幅(4.4-)6〜7.7(-8.6)cm。側羽片は(21-)26〜32(35)対あり、中軸の両側に互生し、長楕円形で、長さ(0.6-)0.9〜1.3(-1.5)cm、幅0.4〜0.8(-1.4)cm。最終裂片は鈍頭〜円頭(稀に鋭頭)、基部上側は耳状、下側は切れ込んで、辺縁は波状縁〜鈍鋸歯縁。質は硬い草質で緑色。葉軸裏側(背軸側)に疎らにあり、三角状披針形で黒褐色。毛は密にあり、半透明の短い有節毛。
     葉柄は淡緑色、長さ(0.4-)7〜1.2(-1.8)cm。鱗片は全体に疎らにつき、卵状披針形で黒褐色、長さ(0.9-)1.1〜1.3(-1.6)mm、縁は突起縁。毛は密につき、半透明の短い有節毛。  胞子嚢は羽片の中肋と辺縁の間のやや辺縁寄りに縦1列に並び、円形で径(0.8-)0.9〜1(-1.1)mm。包膜は円腎形で全縁。

  • 分布・生育地 :
     奄美大島、沖縄(沖縄島、石垣島)
     山地の岩上や樹幹

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体 2012年2月19日  沖縄県沖縄島
     中上・全体2    同  上
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)
     中下・葉 2009年5月3日    同  上
     下・胞子嚢群 2012年2月19日    同  上

  • 撮影記 :
     「沖縄県レッドデータブック」によると、沖縄島では2ヶ所、石垣島では1ヶ所の産地が知られているだけの希少なシダである。
     幸いなことに沖縄島の2ヶ所の自生地の両方で見ることができたが(上と中の写真)、1ヶ所の産地は台風等で山が荒れその後見つけきらないでいる。
     「レッドデータプランツ」(山と渓谷社刊)の永田芳男さんの写真は、木に這い登っているものであるが、沖縄島の自生地では木に這い登っていたのは1株だけで、あとは全て隆起石灰岩上に黒褐色の根茎を這わせ葉をつけていた。
     胞子嚢がつきにくいと聞いていたがその通りで、訪れるたびに何度も胞子嚢のついた葉を捜したが、たった1度それもやや痛んだ葉を1枚だけ見つけるのが精一杯だった。
     このシダの生える隆起石灰岩の岩場はハブの絶好の住み家らしく、何度もハブに出会った。そのため、胞子嚢がついていないかと葉裏を確認するため手を伸ばすのも、あたりをよく見回しながらおっかなびっくりだった。

  • その他のシダ
ワラビツナギ2

葉

胞子嚢群