カツモウイノデ(褐毛猪手)

Ctenitis subglandulosa


カツモウイノデ1


  • 科名・属名 : オシダ科 カツモウイノデ属

  • 特徴 :
     草丈80〜140cmの常緑性シダ。
     根茎は短く横走または斜上し、葉を叢生する。
     葉は3回羽状深裂、葉身は三角状広卵形〜三角状卵形で先は鋭頭〜鋭尖頭、長さ(45-)49〜55(-62)、幅(30-)36〜45(-56)cm。70cm。側羽片は(24-)26〜28(-29)対あり、長楕円状披針形、最下羽片が最も大きく広三角形、長さ(20-)23〜27(-30)cm、幅(12-)13〜16(-18)cm、長さ(1.2-)1.5〜2(-2.4)cmの柄があり、第1小羽片が一番大きい。小羽片は長楕円状披針形(2.7-)3〜3.6(-4.3)cm、幅(1.1)1.3〜1.6(-1.9)cm、先は鈍頭〜鋭頭で基部はくさび形。裂片は長楕円形、先は鈍頭で全縁〜やや鋸歯縁。質は硬い草質、表面は鮮緑色で表面脈上と裏面には毛がある。
     葉柄は淡緑色〜褐色を帯びたわら色、長さ(33-)42〜56(-75)cm。鱗片は、最基部で密で開出し、黄褐色、線状披針形で全縁、長さ(13-)20〜29(-34)mm。それより上のものはやや密〜疎らで圧着し、卵状広披針形で不規則な毛状突起縁黄褐色、線形で全縁、長さ1.5〜2(3)cm、上部に着く鱗片は褐色〜淡褐色、卵形〜披針状卵形で先は毛状に伸び、長さ2〜4mm、縁には不規則な歯牙があり、薄くて圧着する。
     胞子嚢群は葉身、羽片の基部側からつき、裂片の中肋寄り、やや不規則な円形で、径0.7〜0.9mm。包膜は円形〜円腎形で縁は毛状突起縁、表面も有毛。

  • 分布・生育地 :
     本州(千葉県以南の太平洋岸、島根県)、四国(太平洋岸)、九州、沖縄
     (国外:中国(南部)、台湾、東南アジア〜インド(北東部)、グアム、南太平洋)
     山地林下

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2007年4月29日  沖縄県西表島
     中上・全体2 2007年12月2日  鹿児島県屋久島
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)
     中中・葉(表) 2022年5月11日  宮崎県串間市
     中下・胞子嚢群1 2007年4月29日  沖縄県西表島
     左下・胞子嚢群2 2022年5月11日  宮崎県串間市
     右上・葉柄基部鱗片 2010年7月10日  沖縄県国頭郡
     右下・葉(中)軸鱗片 2022年5月11日  宮崎県串間市

  • 撮影記 :
     葉柄に密につく褐色の鱗片の色から和名がつけられていて、小笠原諸島に分布し黄褐色の鱗片をつけるキンモウイノデと対応している。
     本州千葉県から以南の太平洋岸から沖縄にかけて分布する南方系のシダだが、南方では割合によく見かけるシダで、群生していることが多い。
     草姿はいかにもシダらしい形で同定が難しいように思えるが、南方に行けば行くほどこのようなシダらしい形のシダが少なくなるので以外に見分けやすく、葉柄基部の鱗片を見れば確実だ。

  • 葉柄基部鱗片

    葉(中)軸鱗片

    その他のシダ
カツモウイノデ2

葉(表)

胞子嚢群1

胞子嚢群2