タイワンシシンラン(台湾石吊蘭)

Lysionotus apicidens


タイワンシシンラン1


  • 科名・属名 : イワタバコ科 シシンラン属

  • 特徴 :
     草丈20〜50cmの小低木。着生。
     茎は樹幹や岩上に着生する苔の中を這い、疎らに枝を出し、太さ2〜3mm。
     葉は対生、または3〜4個が輪生し、葉身は楕円形〜倒披針形で、長さ2〜7cm、幅0.6〜2cm。先は鈍く、基部は鈍形〜心形、表面の主脈はへこみ、縁には少数鋭い鋸歯がある。質は厚い革質、無毛または有毛。
     花は上部の葉腋から短い花序を出して、数個の花をつける。花柄は長さ1〜2.5cm、小花柄は10〜15mm、中部には早落性の小さな苞がある。花冠は白色〜淡紅色、筒状で先は唇形、長さ3〜3.5cm。上唇は2裂、下唇は3裂し、下唇には紫条が入り、裂片は円形でほぼ同大。雄しべは2個、花冠内にあり、花筒に上側につき、下側に2〜(3)個の仮雄しべがある。花糸は糸状、子房は線形で基部は環状の花盤に囲まれ、長さ約2cm、上部は次第に細くなって花柱に繋がり、花柱は長さ8〜10mm、柱頭は短く2裂する。萼は5深裂し、裂片は線状披針形で尖り、長さ約5mm。
     果実(刮ハ)は長い線形、長さ4〜13cm、先はとがる。種子は紡錘形、長さ0.6〜1.2mm、両端に種子とほぼ同長の細い付属体がある。

  • 分布・生育地 :
     沖縄(沖縄島) (国外:中国、台湾、ベトナム)
     樹幹や岩上

  • 花期 :  7〜8月

  • 撮影月日・場所 :
    上・全体1 2010年7月10日 沖縄県沖縄島
    中・全体2、以下全て    同  上
    (上、中は拡大写真あり、写真をクリック)

  • 撮影記 :
     前日の雨のせいか、まとわりつくような湿気で、拭っても拭っても汗が吹き出る。枯れ沢を詰める登山道は蒸し風呂のようだ。真夏の沖縄、わざわざ汗をかくことはないのに、幻のこの花見たさに来てしまった。
     やっと風の当たる場所まで登りきる。生温い風でも心地いい。汗を拭う間も惜しい。早速この花を探し始めるが、なかなか見つからない。あせりかけた頃、下の方から「見つかった」の声がかかった。
     現場に急ぐと、所々ブッシュに覆われた岩場に、イワタバコ科独特の筒状の白い花が見える。花期的には少し遅く終わっている花が多かったが、唇弁にある紫条が目立った。
     撮り終えホッとすると、汗を掻きすぎたせいもあってドッと疲れを感じた。
     本土に分布するシシンランによく似るが、花がやや大きく、葉が楕円形〜倒披針形で、基部が鈍形〜心形であることが異なる。

  • 葉

    同じ科の仲間の花
タイワンシシンラン2

花