オチフジ(落藤)Meehania montis-koyae |
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草丈10〜20cmの多年草。 細長い地下茎があり、全体にカメムシをつぶした時のような悪臭がある。 葉は対生し、三角状心形で長さ幅とも2〜4cm。両面に微毛があり、縁には4〜8対の鈍い鋸歯がある。葉裏は紅紫色を帯びることが多く、表面に褐色の模様が出ることもある。 花は筒状の唇形花をつけ、花冠は淡紫色で長さ約4cm。開口部は広がって上唇は2裂し、下唇は3裂する。喉部に開出毛はない。 本州(近畿地方) 山地の半日陰にごく稀 1988年5月3日 兵庫県 中・群落 同 上 中は拡大写真あり(写真をクリック) 下、花・葉 2014年5月7日 同 上 今にも雨の降り出しそうなGWの一日、この花があるという兵庫県のある山に出かけた。登山客とは逆コースを登ると、ラショウモンカズラによく似た大きな花に出会った。 初めはラショウモンカズラかなと思ったが、地面に張り付くように咲いているし、花の感じも違う。これがオチフジだと確信し夢中になって撮影した。 撮り終える頃雨になりすぐに本降りになってきた。これでは撮影にならないのでバス停まで戻ると、次のバスまで3時間以上も待たなければならない。聞くと、バスの多い道路まで15kmくらいとのこと、思い切って歩くことにした。 激しくなった雨の中、2時間以上歩いて身体も濡れ、足も痛くなりはじめた頃、突然後ろから来た車が止まり、中年の女性が「1時間ほど前歩いているのを見かけた。よかったら、途中まで乗せていってあげる」、と声をかけられた。 その温かい言葉が、珍しい花を見たという喜びより、はるかに鮮明な記憶として残っている。 同じ科の仲間の花 |
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