ムシトリスミレ(虫取菫)

Pinguicula vulgaris var. macroceras


ムシトリスミレ1


  • 科名・属名 : タヌキモ科 ムシトリスミレ属
     注.APGV、W分類では、学名(P. macroceras)

  • 特徴 :
     草丈5〜15cmの多年草。食虫植物。
     葉は数個ロゼット状につけ、葉身は長楕円形、長さは3〜5cm、幅1〜2cm。先は鈍頭、縁は全縁でしばしば内側に捲れあがる。質はやや厚く、淡緑色で表面に腺毛が密生し、粘液を分泌する。葉柄は短い。
     花は葉の中心部から1〜3本の花茎を出し、青紫色〜紫色の花をつける。花茎は分枝しない。花冠は唇形、上唇は浅く2裂し、長さ5〜8mm、下唇は上唇より大きくて3深裂し、中央裂片が大きく、長さ7〜15mm、花冠の内側は普通白色。基部にある距は細長く、長さ7〜15mm。萼は唇形で、上唇は3深裂、下唇は2深裂し鋭頭、裂片は長さ7〜15mm。
     果実(刮ハ)は卵球形、長さ約6mm。

  • 分布・生育地 :
     北海道〜本州(中部地方以北)、四国 (国外:北太平洋全域)
     高山帯〜亜高山帯の湿り気のある崖や地上、湿原

  • 花期 :  7〜8月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 1981年7月12日  長野県白馬岳
     中上・全体2 1985年7月7日  北海道夕張岳
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)
     中下・花1 2023年7月4日  山梨県八ヶ岳
     左下・花2(側面)、右下・葉    同  上

  • 撮影記 :
     花がスミレに似ていて、葉の上面に腺毛が密生し、そこから出る粘液で虫を捕らえることからこの和名が付けられているがスミレの仲間でなく、タヌキモ科の花である。
     栄養が取れるほど虫が捕れるのかと注意しているが、虫を捕えている姿はあまり見かけない。
     上の写真で、まわりの葉は高山帯で見るウラシマツツジイワウメで、こんな場所に咲くスミレのような花が食虫植物とはとても思えない。

  • 葉

    同じ科の仲間の花
ムシトリスミレ2

花1

花2(側面)