ツクシカイドウ(筑紫海棠)

Malus hupehensis


ツクシカイドウ1


  • 科名・属名 : バラ科 リンゴ属

  • 特徴 :
     高さ5〜6mの落葉小高木。
     葉は互生、葉身は卵形〜長楕円形、長さ5〜8cm、幅2〜4cm。先は鋭頭、基部は広いくさび形、縁にやや内曲する細鋸歯がある。若い時は両面に軟毛があるが、花後無毛になる。葉柄は1.5〜4cm。
     花は短枝の先に3〜6個が散状につき、蕾の時は紅色で開花後は白色。花柄は細く、長さ2〜2.5cm、開花期には毛を散生するが後無毛。花弁は5個、広楕円形〜楕円形で円頭、長さ10〜17mm、幅6〜8mm。縁は全縁で凹凸があり、基部は短い爪となり、無毛。花床筒は鐘形で無毛。萼片は5個、花床筒とほぼ同長、卵状長三角形で鋭頭、長さ4〜5mm、外側は無毛で、内側に白い軟毛が密生する。雄しべは約20個、長さ6〜7mm。花柱は3〜4(〜5)本、基部に白い軟毛を密生する。
     果実(ナシ状果)はほぼ球形、径12〜18mm、赤熟する。

  • 分布・生育地 :
     九州(熊本・大分県) (国外:中国(中南部)、台湾)
     日当たりのいい湿り気のある林内、林縁

  • 花期 :  3〜4月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2023年4月10日  大分県
     中上・全体2、以下中下(花2)まで    同  上
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)
     左下・花柄 2022年4月23日    同  上
     右上・葉1、右下・葉2    同  上

  • 撮影記 :
     図鑑には野生絶滅(EW)とされ、熊本県産の栽培個体だけが残されていると記されているが、2018年大分県で再発見されたとの話を聞いた。
     早速地元の花仲間と現地を訪れたが、花はすでにほぼ終わっていて、花柄の毛、葉身の形などを特徴を確認・撮影しただけだった。
     翌年、リベンジのため2週間ほど早い時期に訪れると、ため池際の林縁に遠くからでも白い花が咲いているのが見えた。
     この年は暖冬の影響で春の花が異常に早く咲いたためややピークを過ぎかけていたが、まだ鮮やかな紅色の蕾も残っていて、美しい開花に出会うことができた。
     大分県植物研究会の会誌には、2018年専門の研究者が現地を訪れ調査し、ノカイドウやズミなどとの違いについて詳細が記されている。

  • 葉1

    葉2

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ツクシカイドウ2

花1

花2

花柄