ムニンビャクダン(無人白檀)

Santalum boninense


ムニンビャクダン1


  • 科名・属名 : ビャクダン科 ビャクダン属

  • 特徴 :
     高さ2〜4mの常緑小高木。
     シマイスノキモンテンボク(テリハハマボウ)などの根に吸盤で寄生する。
     樹皮は暗灰色でやや平滑、材は白色で、心材は黄赤褐色、芳香があるが弱い。枝は直立する傾向がある。
     葉は対生、葉身は長楕円形〜線状長楕円形、長さ3〜7cm、幅2〜3cm。先は鈍頭で全縁。質はやや厚く。黄みを帯びた緑色で、裏面は粉白色を帯びる。幼葉も粉白色を帯びる。葉柄は短い。
     花は枝先や枝端近くの葉腋に集散状につき、長さ約5mm、緑色〜淡黄色で外側に短毛が散生する。苞は小型で早落性。花柄はごく短く、基部に関節があり落下しやすい。花筒は鐘形でやや四角柱状、長さ約2mm。花被裂片は4個、三角状卵形で筒部と同長。花盤は黄色、肉質で筒部の内面を覆い、裂片の間に突出する。雄しべは花被裂片と対生し、その基部につく。花糸は短く、白色の長毛がある。葯は短く内向型で、花被の外に出ない。雌しべは直立して花被より短く、柱頭は水平に3裂する。花には芳香がある。
     果実(核果)は洋ナシ形、長さ約16mm。核は球形、長さ約10mm、先は急に細く尖り、縦方向に断続する低いいぼ状の突起がある。

  • 分布・生育地 :
     小笠原諸島(父島・母島) (国外:日本固有)
     日当りのいい山地や尾根の低木中

  • 花期 :  3〜5月

  • 撮影月日・場所 :
    上・全体1 2011年6月25日  東京都小笠原諸島
    中・全体2、以下全て    同  上
    (上、中は拡大写真あり、写真をクリック)

  • 撮影記 :
     初めて訪れた小笠原諸島、島に到着した日は昼なので、島の花見は翌日からになる。
     島の植物については固有種が多く、事前にそれなりに勉強してきたつもりだったが、実際に見るとよほど特徴がはっきりしていない限りなかなか同定できない。
     この花も尾根付近の林内にムニンネズミモチなどとともに咲いていたが、個体数は少なく思い通りの写真は撮れなかった。
     ビャクダンの仲間は東南アジア、オーストラリア、太平洋諸島に点々と十数種があり、心材に芳香があることが知られ、特に一部のものは心材が緻密で美しく、芳香が持続性があることから、仏像、装飾用彫刻材、薫香などに用いられ珍重されている。
     日本では小笠原に分布するこの1種だけで、この木にも芳香があるようだが、個体数が少ないことや香りが強くないことから利用されなかったとのことである。

  • 葉

    同じ科の仲間の花
ムニンビャクダン2

花